今回はトレードでかかるストレスについて話していこうと思います。
もしかしたらあなたは、トレードのストレスは損失からくる、と思っているかもしれません。
でも実際はもう少し複雑で、損切りにならなくてもいろいろなところでストレスを感じます。
FXと長く付き合っていくためにも、長くお金を稼ぐためにもストレスの少ないトレードを心がけましょう。
ストレスの大きな原因はリスクの取りすぎ
トレードをする上で最も大きなストレスになるものは何かと言われたら、リスクの取りすぎを挙げます。
自分の身の丈に合っていない、たくさんのリスクを取ったトレードが最もストレスになります。
リスクをどのくらいとるのか、というのはつまりどのくらいのロットでトレードするのか、という話です。
ロットの話をすると、こう考える人がいるかもしれません。
「私は自分の資金の2%が1回のトレードの損失になるようにしているから、リスク管理はできている」と。
もちろんこれは間違いではありません。
しかし、資金の2%以内に損切りを設定していたとしても、その金額にあなたがストレスを感じるかどうかが重要なポイントです。
資金がなくなってしまうかどうかの問題ではなく、ストレスなく正常な精神状態でトレードを行うことができるか、を考えます。
例えばあなたは僕とちょっとおしゃれなカフェ、スターバックスで話をしているとします。
そこで僕がおもむろに財布を出してこう言います。
「この1000円あげます。受け取ってください」と。
あなたはこの1000円を受け取りますか?それとも受け取りませんか?
ちょっと考えてみてください。
次に僕が1万円を出して、「この1万円あげるので受け取ってください」といったら受け取りますか??
ではでは、僕がカバンから封筒をだして、その中身を見せたとしましょう。
そこには100万円が入っています。
「これあげます、受け取ってください」と言います。
あなたは受け取りますか?
さて、この辺にしておきますが、あなたの答えはどうでしたか?
1000円、1万円、100万円、全てもらいますか?それとも全て拒否しますか?
たぶん、1万円まではなんとかもらえるけど、100万円となるともらえない、という回答が多いのかな、と思います。
なんでそう思うかというと、僕がこの質問をされた時にだした答えがそうだったからです。
1万円までは頑張ればもらえるけど、100万円はきついな、受け取れないな、と思いました。
あなたはどうでしたか??
ちなみになんでこんな例を出したかというと、ここで抵抗なく受け取れる金額が、あなたが当たり前のように稼げる金額なのです。
勘違いしないで欲しいのは、稼ぐ能力があるかどうかは別の話であって、その金額を稼ぐことに抵抗がない、ということです。
つまり、僕の場合この質問に答えた時点では1万円を稼ぐのにはそこまで抵抗がないけど、稼ぐ金額が10万円を超えてくると、意識しなくても稼ぐことを拒否してしまうのです。
ではこれがリスクとどう関係しているのか。
ここに行動経済学のプロスペクト理論を合わせます。
プロスペクト理論は簡単に言ってしまえば、人間は1万円を手にいれる時と1万円を失う時では、失う時のほうが大きなダメージを受ける、と言うものです。
つまり、1万円を手に入れた時の喜びと1万円失ったときのダメージを比べると、ダメージのほうが大きいのです。
そしてその差は約2倍。
ということはさっきの話に戻りますが、1万円貰うことに抵抗がある人は、5千円を失ったときと同じくらいのダメージを受けます。
それくらい失うことに対して人間はダメージを受けます。
そしてダメージを受ける金額は人それぞれ異なります。
例えばサラリーマンで毎日のお昼ご飯を500円で抑えようとしている人にとっての1000円と、毎日何も気にせず好きなものを好きなだけ食べる生活をしている人にとっての1000円は全く違いますよね。
サラリーマンだったら、1000円を失うことは相当のダメージになりますが、後者の場合は、おそらく1000円はたいしたことない金額でしょう。
よって失ったときのダメージが異なります。
このように、人それぞれいくらくらいの金額を失うことに耐えられるか、ストレスを感じないかは違います。
なので初めはでもトレードからトレードを行い、最初は1万通貨ではなく、100通貨からトレードを始めることをお勧めします。
1万通貨でトレードした場合、だいたい10pipsで1000円になります。
しかし、100通貨であれば10pips10円です。
金額が小さすぎて、利益になっても大した金額にならないじゃないか、と思うかもしれません。
しかし、ここでロットを落としている目的はお金を稼ぐことではなく、長くトレードを続けるために、損失に自分が耐えられるようになることです。
トレードする資金が仮に100万円あったとしても、その金額でトレードを行うべきではありません。
100万円がなくなってもいい余剰資金だとしても、もしあなたが毎日ランチを500円以内に抑えているのであればもっと小さな金額から始めるべきです。
もし100万円あって、資金の1%のリスクでトレードをした場合、1回の損失は1万円です。
毎日1000円以内で生活している人が1万円を1回のトレードで失いことに耐えられるかといったら、それは難しいでしょう。
かなりのストレスになります。
おそらくトレードしている時もチャートを見ていない時も、自分のポジションが気になってしまいます。厳密にはポジションが気になるというよりも、1万円がどうなったかが気になってしまうのです。
こうならないためにも、まずは少ないロット数でトレードを始め、少しずつロットを大きくしていくことをオススメします。
この過程であなたのトレードスキルも向上するのはもちろん、自分のトレード手法の弱点なんかも見えてくるので、とてもいい方法です。
いきなり大きな金額を稼ぐことを目的にするのではなく、長くトレード人生を送るために、ストレスが少ない状態でトレードすることを心がけましょう。
スクリーンの見過ぎはトレードによくない
特にFX初心者に多いのですが、長い時間チャートを見ているのは、トレードに全くいい影響をもたらしません。
具体的にどのくらいスクリーンを見ていたら、見過ぎかというと30分以上見続けてたら、それは見過ぎです。
別の記事でも話しましたが、スクリーンを長く見ていればそれだけお金をたくさん稼げるかといったらそれは違います。
長くチャートを見ていると不思議なもので、「何か行動を起こさなきゃ」という気持ちになります。
例えばエントリーした後、放っておけばいいのに、チャートを見ると目の前の動きに反応して、ポジションを増やしたり減らしたり、利益確定や損切りの場所をずらしたりします。
こういうことをいくらやっても、相場の動きを先読みすることは不可能であり、自分のポジションにとって良いことは何もありません。
トレードの決断をしてエントリーしたら、後は損切りと利益確定のオーダーを入れて、チャートを閉じましょう。
そして、外に出かけたり本を読んだり、好きなことをするべきです。
いつまでも相場のことが頭から離れない、というのが一番ダメです。
今はとても便利な世の中なので、スマホからでもチャートを見ることができます。
つまり、電波が入るところであれば、自分のポジションが利益になっているか損失になっているかがすぐわかるのです。
しかし、いちいちチェックしてそれで一喜一憂してはいけません。
そこで一喜一憂するエネルギーは無駄であり、本来は相場のことはわすれて他のことをすべきなのです。
自分が監視している通貨ペアがどんな動きをしているのか、トレンドなのかレンジなのか、を常に頭に入れておくべきだ、と主張する人もいます。
しかし、それはチャートを見た時に思い出せればいいだけであって、チャートを見ていない時もずっと値動きについて考えていると、それだけでストレスになります。
チャートを分析する時はしっかり分析し、分析が終わったら思い切って全てを忘れるくらいがいいのです。
トレードのしすぎはストレスになる
トレードをし過ぎるのがストレスになる、というのは2つの意味があります。
一つ目は、1日に何回もトレードをすることです。
僕は基本的に日足をメインに使ってトレードを行うので、1日に複数回エントリーすることはありません。
しかし、デイトレードなど、場合によってはスキャルピングのようなトレードを行っていると、1日に何度もエントリーする、というのは普通にありますね。
トレードは基本的に回数が多くなればなるほど体にストレスがかかります。
理由は簡単で1回1回エントリーするたびに、利益になるかもしれないし損失になるかもしれない、という状況を必ず通らなければいけないから。
2回連続で勝ったから、3回目のトレードは勝率がいつもより高くなる、ということはなく、勝率は常にある程度一定であり、勝つ可能性も負ける可能性もあります。
もしエントリーすること自体にストレスを感じるのであれば、1日にエントリーする回数に制限を設ける、というのも一つの手です。
エントリーは3回しかしない、と言った感じですね。
次にトレードしすぎの2つ目です。
2つ目は同時に複数のポジションを持つことです。
これはさっき話した1日に何回もエントリーすることで感じるストレスよりも大きなストレスがかかります。
なので、もし1日に複数回エントリーすることにストレスを感じているのであれば、一度に複数のポジションを持つのはやめたほうがいいです。
なぜ同時に複数のポジションを保有しないほうがいいのかというと、複数のポジションを同時に持つことで、トータルのリスクが大きくなります。
さらに、複数ポジションを持つと、チャートをずっと見続けることになるので、これもまたストレスになります。
例えばあなたが同時に5つのポジションを持ったとしましょう。
全てのポジションでプラスになるというのはなかなか珍しいですよね。それよりも、ほとんどがマイナスになることのほうが多いと思います。
同じ時間のそれぞれの通貨ペアは値動きに関連性があるので、1つがマイナスになると、他も一気にマイナスになる可能性が高くなります。
もちろんほとんどのポジションがプラスになると考えて同時にエントリーしているので、いい成績を収める可能性もあります。
しかし、仮に5つのポジションのうち4つのポジションがマイナスになったとしたら、1つのトレードのリスクを2%にしたとして、8%マイナスです。
資金の8%ということは、100万円であれば8万円です。
結構大きな数字じゃないですか。
そして、ここからこの失った8万円を取り戻すのがどれくらい難しいかもわかると思います。
ただどうしても一度に複数のポジションを持ちたい、という場合は持つポジションのトータルのリスクを資金の2%に抑えてください。
今回の例では1つ1つのポジションで資金の2%ずつのリスクを負っているので、4つのポジションがマイナスになったら資金の8%を失うことになります。
そうではなく、同時にもったポジション5つ全てのストップの合計が資金の2%以内になるようにするのです。
これだと1回の利益もそこまで大きくなく、複数のポジションのリスク管理を総合して考えなければいけないので、いろいろ複雑になる割に、対して報われない、というのがあります。
割に合わない、というやつですね。
であればいっそのことそんな面倒臭いことはやめて、一度に1つのポジションしか持たないと決めたほうが良いです。
一度に複数のポジションを持つことにストレスを感じるのであれば、一度に1つのポジションしか持っちゃいけない、というルールを決めましょう。
ただ、1つのポジションが確実にブレークイーブン、プラスマイナスゼロ以上になることが確定したら、もう一つポジションを持っていい、という感じに。
トレード判断が複雑すぎる
次にストレスになる原因はトレードするかしないかの判断が複雑すぎる、という問題です。
トレードは買うか売るか、決済するか保有し続けるか、といういたってシンプルな決断を行うものです。
それにもかかわらず、FXについて勉強すればするほど、エントリーしようと思っても、本当にここでエントリーして良いのか、もう少し待ったほうが良いのか、がわからなくなります。
この原因は無駄に複雑なインジケーターです。
インジケーターをもし2つ以上表示させているなら、たぶんトレードするときに混乱するのは避けられません。
勝てているときはいいですよ。
でも、一旦負け始めるとなんで勝てないのかがわかりません。
だってインジケーターはどんなことに反応しているのか、インジケーターの本質をつかむのが難しいからです。
ということは、その問題にどう対処すればいいのかがわからず、またさらにインジケーターを追加することになります。
そしていつまでたっても複雑になる一方です。
インジケーターについてはこっちの記事に詳しく書いたのでぜひ参考にしてください。
とにかくインジケーターを始め、チャートにごちゃごちゃと表示させているものは全てトレードする上でストレスになります。
もしあなたがインジケーターなしでトレードするなんて考えられない、と思っているなら、そもそもその考えを見つめ直しましょう。
インジケーターからいつまでも離れられない、ということはこの先ずっと、インジケーターのストレスから逃れることはできません。
ならいっそのこと、全てを消してみる、というのもいい方法ですよ。
そうするとまた新しいものが見えてきますので。
健康的な生活を送ること
本当に初歩的な問題すぎてテーマとして取り上げるのもどうかな、と思うのですが、健康的な生活を行っていない人が多すぎます。
特に睡眠について。
「今日は終電まで残業した」
「昨日はチャート分析をして徹夜になっちゃったよ」
「先週は1日平均4時間しか寝てないんだよ」
こんな風な不幸自慢をする人が世の中にはたくさんいるのですが、あなたは違いますよね。
これって、本当に健康ですか?という話です。
もちろん本当に夢中になるものがあって、寝る時間を削らないとできない、だから睡眠時間を削っているのであればいいです。
しかし、トレードにおいて睡眠不足はかなり致命的です。
睡眠不足の状態では正しい判断ができません。
トレードは常に判断の連続です。
エントリーするべきか、しないほうがいいのか。利食いすべきか、もう少し持っていたほうがいいか。
これらを正常に判断するためには、やはり健康が必要です。
睡眠時間が少なく、常に眠たい、ぼーっとしている状態で何時間もチャートを見たところで、正しい判断なんてできませんよね。
そんなことしてるなら、早く寝ろ、と言いたいです。
睡眠時間を削ってだらだらと何時間もチャートを見ているなら、さっさと寝て、次の日の朝30分でいいから、頭がクリアな状態でチャートを見ましょう。
「そうはいってもなかなか時間が取れないから、睡眠時間を削っているんだよ」こう思うかもしれません。
しかし本当にそうでしょうか。
普通のサラリーマンであれば1日8時間くらい働き、通勤に往復2時間かかるとします。
これで10時間ですよね。
睡眠に8時間とったとする。
これで18時間です。1日ってこれで終わりますか?
あと6時間あるじゃないですか。
睡眠時間は多めに8時間にしても6時間も好きに使えるんですよ。
その6時間何してますか?
もし時間がない、と感じるのであれば、それは時間がないのではなく、時間の使い方が下手なだけです。
睡眠時間を減らす前にもっとできることがあると思うので、しっかり睡眠時間は確保して、健康的な生活を送ってくださいね。
ストレスがかかるかどうかはトレード手法による
今までの話でなんとなくわかったかもしれませんが、トレードをする上でストレスを感じるかどうかは、トレード手法によるところがかなり大きいです。
はじめに話したリスク管理がしっかりできているかはトレード手法はそこまで関係ありません。
しかしチャートの見過ぎやトレードのしすぎ、さらに複数のインジケーターの使用は、トレード手法がどんなものかにかなり左右されます。
もしスキャルピングのようなかなり短期でエントリーとエグジットを繰り返すトレード手法を採用していれば、1日に複数回エントリーすることはほぼ確実です。
この時点で複数エントリーのストレスにさらされることになるのです。
チャートをずっと見続けるストレスは、もしかしたら避けられるかもしれません。1日30分と決めてチャートをみてトレードをすれば、そんなに時間は掛かりませんね。
またこの場合かなりの確率で複数のインジケーターを組み合わせてトレードを行います。
デイトレードの場合、1日に複数回エントリーすることは避けられそうですね。デイトレは基本的に1日に1回か多くても2回くらいのエントリーです。
一方チャートをある程度の時間見ないとチャンスが訪れないので、チャートを見続けるストレスはかかります。
デイトレの場合は特に、1日でチャンスがいつ来るのかがわからないので、そのチャンスを見逃さないように、意識を集中するのが大変です。
チャートを見続け、見ていない時もある程度考えていないとエントリーして利益に結びつけるのは難しいですね。
最後にスイングトレード。何日かに渡ってポジションを保有する。
この場合、1日に1回エントリーすれば十分でしない日も沢山あります。
チャートを見る時間も日足が確定する時に確認すればいいので、ほとんど時間はかかりません。
このように、トレードスタイルが違うと、かかるストレスが変わります。
スキャルピングが難しいというのは、トレードのテクニック的な問題ももちろんありますが、こうしたストレスにさらされるという意味でも稼ぎ続けるのが難しいのです。
一番ストレスなくトレードできるのはやはり長期間保有するトレードスタイルですね。
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