テクニカル分析の一つであるフィボナッチリトレースメント、フィボナッチエクスパンションはトレンドの方向をしっかりつかんでいれば、トレンドをかなり高い確率で捉えることができます。
ここでは、フィボナッチの基本的な説明ではなく、少し応用編です。
フィボナッチリトレースメントを複数組み合わせて、一つのトレンドを上昇も下落も両方とも狙いに行くトレード手法になります。
フィボナッチを単体で使うときに比べると、多少難易度は上がりますが、その分トレードチャンスが増え、取れる利益も大きくなります。
また、今回のトレード手法を知ることで、今までとは違った相場の見方ができるようになりますよ。
具体的には後で話していきますが、トレンドを上昇と調整でしっかりと先を予測して相場見れるようになる力がつきます。
重要なのは大きなトレンドと小さなトレンドの見極め
まず、ここではフィボナッチリトレースメントを使ってロジックの説明をするのですが、フィボナッチリトレースメントの基本的な部分には触れません。
リトレースメントの基本はこちらにまとめましたので、先に読んでおいてください。
このリトレースメントの説明では、日足・4時間足などの長期足で大きなトレンドの方向をつかんで、その方向だけにエントリーする、というロジックでした。
この場合、トレンドがきれいに継続すれば、問題なくトレンドの方向にエントリーするでいいのですが、毎回きれいにトレンドが継続するとは限りません。
トレンドが途中で終了し、そのままダウントレンドに移行する可能性も十分にあります。
その時に、乗り遅れないように、ダウントレンドに切り替わってもエントリーできるように、その準備をしていくのが今回の内容です。
上下両方のエントリーを考えるのできちんと頭の中が整理されている必要があります。
そのためリスクは少し高くなりますが、その分、トレードチャンスは増えます。
で、これから話すロジックを考えるにあたって、重要なのは、大きなトレンドと小さなトレンドを見極めること、です。
大きなトレンドがどんな風に動いていて、それに対して小さなトレンドがどんな風に動いているのか、ここを自分わかることが最も重要です。
理解しやすいように、図を使って説明しますね。
例えば日足がこのようになっているとします。
これまでの紹介したフィボナッチリトレースメントのロジックだと、この時点で安値と高値を結んだフィボナッチリトレースメントを表示させ、上昇トレンドに対してどこまで押し目が入るかを見ます。
そして、フィボナッチラインが効いて、反転上昇の流れになった時だけタイミングを計り、エントリーします。
このように上昇した時だけ。
しかし、相場はアップトレンドだとしても常に上昇するわけではなく、どこかのタイミングで下落し始めます。
例えばこの後、最初のアップトレンドの後、上昇するのではなく、このように下落する可能性もあります。
こんな風に。
つまり、アップトレンドの途中で相場を見た時、そこから上昇するのか下落するのかは事前にきちんと予測をして、動いた方向に合わせたトレード戦略を作っておくべきです。
このように、上昇するか、下落するか、予測する必要があります。
結論を先に言うと、先ほどの図の赤い四角で囲った部分、ここのローソク足の動きを重要視してみます。
この動きを15分足などの短期足で見ることで、ここから上昇しそうなのか、下落しそうなのかの予測を立てることができます。
ここからは実際のチャートでフィボナッチリトレースメントを使いながら、どう判断していけばいいのかを解説していきます。
実践エントリー解説
ここで使う場面はこちら。
今このチャートの一番右端にいるとします。
アップトレンドで、ちょうど高値をつけたところで、ここから押し目をつけに行くところですね。
このように、高値をつけたら、アップトレンドに対してのフィボナッチリトレースメントを引くことができます。
このようになります。
黄色い線で書いたようにトレンドを簡略化して見ているので、このようなフィボナッチリトレースメントになりました。
ここまでは今までの復習ですね。
ここから今までの見方では、どこまで押し目が入るかを見ます。
31.8%で反発すればかなり勢いがあると判断でき、50%で反発すれば普通の強さのトレンド、61.8%の場合はそこまで勢いが強くないかな、と見れます。
この考え方は、アップトレンドが今後も続くことが前提で、これから下落していくシナリオは考慮されていません。
そこで、ここでは、ダウントレンドになるかもしれない、という新しいシナリオを追加します。
具体的にどうするか、どうすればいいのか。
この段階ではまだダウントレンドを前提にしたフィボナッチリトレースメントは引けません。
ここから少し下落して、止まったところで初めてリトレースメントが使えます。
このようになりました。
これが、今話した、少し下落して止まったところです。
こうなると、直前の高値と今さっきつけた安値を結んだダウントレンドに対してのリトレースメントを引くことができます。
このようになります。
わかりやすいように、ダウントレンドのリトレースメントは赤にします。
これでアップトレンドに対してのリトレースメントとダウントレンドに対してのリトレースメントを表示させました。
ここでまず注目すべきポイントは、ブレイクアウトがどっちに起こるか、です。
もし上昇方向に大きな陽線が発生し、つまりブレイクアウトが起こり、そのまま落ち来なければ、緑のフィボナッチリトレースメント、アップトレンドの31.8%のラインが効いていると判断して、買いエントリーを考えます。
しかし、大きな陽線が発生したが、そのまま上にいることができず、すぐに戻してしまった場合、もしくは下落方向へのブレイクアウトが確認されたば場合、上昇方向へのエントリーは一旦見送り、下落へ切り替えます。
この下落へのブレイクアウトが起こった場合に、先ほど引いた下落のフィボナッチリトレースメントが役に立ちます。
ここから、下落で引いたフィボナッチリトレースメントが上に抜かれるようだと、下落よりも、上昇の可能性が高くなります。
しかし、この下落のリトレースメントを上に抜けられずに下落した場合、勢いは上昇から下落へ変わったことになります。
このあと、このように下落しました。
で、この大きな下落を取りに行くことを考えると思うのですが、ここを取りに行くのはかなり至難の技です。
この大きな陰線で、上昇ではなく、下落だと確信が持てたので、下落しきったところで、新たに下落のリトレースメントを引きます。
さっきの下落のリトレースメントの役割は終了したので、もう削除します。
すると、このように新しい下落のフィボナッチリトレースメントが引けます。
ここからは目線を下落に切り替えます。
どこまで戻ってくるかを確認しつつ、エントリーできそうなところを探します。
すると、このように上昇してきました。
ちょうど61.8%のラインまできました。
ここをさらに上に行くようであれば、売りエントリーは厳しいです。
しかし、ここで反発して下落する動気になれば、エントリーできます。
このあと、相場はこのように動きました。
下落のブレイクアウトですね。
15分足で見ると、よりわかりやすいです。
ブレイクアウトが発生しているのがよくわかると思います。
こうなったら、条件としては、下落のトレンドの中で下落のフィボナッチリトレースメントの61.8%反発が確定です。
あとはエントリータイミングをとるだけです。
今回は移動平均線タッチのエントリーがきれいに決まりました。
このようにきれいにと横横の動きになる場面は前にも紹介しましたね。
こういう調整が入って移動平均線に近づいていくと、移動平均線で反発する可能性が高まります。
移動平均線に反発して50pipsほど下落しました。
まとめ
トレンド方向へのフィボナッチリトレースメントを引くのはもちろんなのですが、そこから上昇せずに下落するシナリオを考えるにあたって、下落のリトレースメントも引いておく必要があります。
そうすることで、相場がトレンド方向へ動くのか、トレンドが転換するのか、この辺がわかるようになります。
そして、初動をとらえるのは難しいので、上昇なのか下落なのかが確定してから、タイミングをとりエントリーします。
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