コラム

アップルショックとは?アップルショックが起こった3つの原因

「2019年、年明けの大暴落アップルショックってなぜ起こったの?事前に予測して備えることは出来るの?」

今回の記事ではこうした疑問に答えていきます。

今年の初めに起こったアップルショックは数年に一度のレベルで起こる相場の大暴落です。

リーマンショック、大震災、ギリシャ危機、などが起こったときの大暴落レベルと同等です。

こうした相場の大変動は数年に一度のスパンで確実に起こるので、「なぜこうした事件が起こるのか?」を理解して、今後たとえ大暴落が起こったとしても、損失を最小限に抑えられるようにしっかりと準備をしておく必要があります。

この記事の内容はこちら
  1. アップルショックとは?
  2. アップルショックが起こった3つの原因
  3. 今後アップルショックのような大暴落に備えてできること

まずはアップルショックとはなんなのか?相場ではどんなことが起こったのか?を見ていきましょう。

アップルショックとは?相場ではどんな事が起こった?

アップルショックとは2019年1月3日の日本時間、朝7時40分頃に起こった相場の大変動のことを言います。

ドル円が400pips弱、オージー円が500pipsの大変動が一瞬で起こりました。

こちらがドル円の5分足のチャートです。

後もう一つオージー円は500pips下落しています。

こうした相場の大変動は、時間の経過とともに下がってきたわけではなく、文字通り一瞬で値が飛び、損切りの注文などを入れた状態で年越しをしていたとしても、そのほとんどは機能せずに、ポジションを持っていたトレーダーたちは、かなり不利な値段での損切りを強いられました。

トレーダー
トレーダー
じゃあこの場面、一気に下落したところでロングのポジションを持てば、利益になる美味しいところなんですか?
管理人K
管理人K
実はそんなことはなくて、スプレッドの観点からとても難しいんです

通常ドル円は売りと買いのスプレッドが1銭未満で、0.5ポイント程度ですが、今回は50ポイントは平気で開いていて、ある証券会社では200ポイントもスプレッドが開いている状態でした。

もし200ポイントのスプレッドで注文が通ったとして、エントリーした瞬間から-200pipsでスタートするということです。

この状態では、なかなか怖くてポジションを持てないでしょう。

このスプレッドは、FOMCや要人発言などで相場が大きく動くような場面でも広がるのですが、ここまで広がるのは異常であり、もしこの場面で相場を見ていたとしても、その値段で注文を入れるのはほぼ不可能なのです。

一言でいえばマーケットが一瞬でカオスな状態になり、多くのトレーダーが再起不能になるくらいの大ダメージを口座に負っているのです。

そして相場の世界は原理的にはゼロサムであり、損した分は誰かの利益になっていることから、今回の相場で大きな利益を手にした人がいるのも確かです。

さて、では次になぜこうしたアップルショックが年明け早々にいきなり起こったのか?その原因を見ていきましょう。

アップルショックが起こった3つの原因

大震災のように、なにか目に見えて大変なことが起こり、それが原因で相場が大変動を起こしているのであれば、理由はわかりやすいですね。

今回はアップルショックという名前がついていることから、原因とされているのはアップルの業績不振です。

ただ、今回の大暴落は単純にアップルの業績不振だけが原因なのか?というとそうではなく、他にもいくつか原因があり、複数の要素がタイミングよく同時に起こった結果こうした自体になった、と僕は考えています。

ここでは以下の3つの視点からアップルショックが起こった原因を紐解いていきます。

アップルショックの3つの原因
  1. アップルの業績不振
  2. 相場が薄商いの時期だった
  3. ヘッジファンドのストップ刈り

これら3つの原因はそれぞれ密接に関係していて今回のアップルショックを引き起こしているのです。

今回のアップルショックの原因を一言でまとめるなら、アップルの業績不振が報道され、リスクオフの動きから円高に触れ、ヘッジファンドがお正月の薄商いの時期につけこみ、大量のポジションを持ち、個人投資家の損切りを誘い出した、となります。

今回の大暴落は、アップルの業績不振のニュースが引き金になっていることは、事実なのでまずはここから見ていきましょう。

理由①アップルの業績不振

今回の大暴落の発端とされているアップルの業績予想の大幅な下降修正。

具体的には900億ドル程度見込んでいた2018年の10月〜12月の売上高の予想を840億ドルまで下方修正したことにより、中国市場での商品販売が不振だとわかり、これにより「中国経済もだいぶ景気が後退してきているのではないか?」という不安があらわになりました。

このアップルの業績不振については、単純に「アップル大丈夫かよ?「中国大丈夫かよ?」ということよりももっと大事な視点があると思っています。

それは、一つの企業が今後世界を大きく動かしていく可能性がある、ということです。

今回はアップルでしたが、世界にはGAFAと呼ばれている、Google、Apple、Facebook、Amazonという時価総額が一つの国の国家予算をゆうに超えている会社があります。

GoogleショックやAmazonショックが今後起こり、それによって為替が今回のように大暴落することがあり得るということです。

各国の動向に意識を向けることはもちろんなのですが、今後は今挙げたような大きな会社の動向にもより一層注意を向けていく必要があります。

理由②相場が薄商いの時期だった

あそこまで大きく暴落した原因の一つとしてお正月の時期で薄商いだった、というのがあります。

お正月やクリスマス休暇などは、世界中でトレーダーの多くが休暇を満喫しているときであり、市場参加者が普段よりも相対的に少なくなります。

こういう時期の相場の動きの特徴としては、閑散としているのであまり動きが出にくい相場となります。

一方でこうした時期に、大きめに売りや買いのポジションが入ると、値が飛んだり、大きく動きやすい時期だということもできます。

こういう薄商いの時期は相場がほとんど動きがないケースが多いのですが、一方で動くときは激しく動くことが多く、今回は大きなポジションが入ったことで一気に相場が動いたということですね。

理由③ヘッジファンドのストップ刈り

薄商いの時期は、ヘッジファンドからすると美味しい時期の一つです。

なぜなら思惑の方向へ相場を動かしたいヘッジファンドからすると、なるべく少ない資金で相場を動かし、利益を得たいので、こういう薄商いの時期は小さな資金で大きく動かせる絶好のタイミングでもあるのです。

ちょうどアップルの業績不振が発表され、市場のムードはリスクオフの流れで、そこから円高に触れる可能性が高いと読んで、ヘッジファンドが大量にドル円をショートしたとしましょう。

ここでヘッジファンドが狙っているのは、ドル円のロングポジションを持っている個人投資家のロスカットです。

大量にドル円をショートすることでドル円が下がっていき、ロングのポジションを持っている人たちの含み損が大きくなり、彼らがロングのポジションを決済する(ロスカット)することで、注文としてはドル円のショートになるので、値段がより下がっていくのです。

自分と反対のポジションを持っている人たちのポジションを損切りさせることで、思惑の方向へと相場を動かし、大きな利益を上げているのです。

他にもヘッジファンドに関しては、株の世界では「これはヘッジファンドの買いか?」という話がよく出てくるのですが、ヘッジファンドは一つの株に狙いを定めたら、その株を買い集め、個人投資家が入ってきたら、安く買っていたポジションを徐々に利益確定していき、最後に残った個人投資家が損をする、そして利益はヘッジファンドが持っていく、こうした話はよく聞きます。

今話したようなヘッジファンドたちが今回売りを仕掛けたことも重なって、こうした下落が一瞬で起きたのではないか、と言われています。

アップルショックは事前に予測できたのか?

今回のアップルショックを事前に予測して、回避することが出来るのか?といえば、予測するのはとても難しいことです。

今回のアップルショックでどういう人が大きく資金を減らしたのか?についてはまた別でまとめていこうと思うのですが、やはり多くの人は事前に予測して対策を取れていない。

朝起きてメールボックスを見たら、軒並み保有していたポジションが強制ロスカットになっており、約定した値段によっては資産の半分以上をふっとばして更に追証も来ている、そんな状態です。

お正月の時期は薄商いで、大きなポジションが入ると相場が大きく動く可能性がある、そしてアップルの業績不振が発表される、などとファンダメンタルズ的にはマイナスの材料があったのは事実です。

ただ、他の条件との組み合わせでアップルが業績不振を発表しても、アップルショックは起こらなかった可能性も十分にあります。

これはファンダメンタルズ分析の弱点でもあるのですが、不安材料があったとしても、それがいつの時点で値段に影響を与えるのか?を予測するのが難しいのです。

現時点で、市場参加者が注目しているトピックスは、米中貿易の関税、日本の消費税増税、イギリスのEU離脱など不安材料が依然として目の前にはあります。

しかし、どのタイミングでこれらのイベントが相場に影響を与えるかを事前に知るのは難しい、ということです。

いつ価格に反映するかがわからないからといって、ファンダメンタルズを無視していいのか?というとそんな事はありません。

今がどういう状況なのか?を把握することで、自分のトレードのリスクを把握することができ、場を知ることで無駄なリスクのあるトレードを防ぐこともできます。

毎年何回かありますが、こうした薄商いの時期は何が起きても不思議ではないので、大きなポジションを長期で保有していることは、とても大きなリスクであり、巻き込まれる可能性が一気に高くなります。

こうした大暴落を事前に予測することは難しいのですが、まずは「数年に一度は起こるものだ」と理解をしておくことで、いつ起こってもいいように準備することができます。

「こんなの想定外で、予想してなかった」ということが数年に一度ほぼ確実に起こり、そこで資産を大きく減らす人たちがこの世界にはとても多いのです。

今後アップルショックのような大暴落に備えてできること

まず最初に出来ることとしては『大暴落に巻き込まれて損失を出すことが自分にもあり得る』と自分ごととして心に刻むことです。

そうしないと、いつ起こるかわからない大暴落に備えて準備をしようとはそもそも思わないからです。

そしてネットでは『含み損が-1000万円』や『追証が来た』などという話がたくさんあり、目につくので、そういう人たちばかりだと思うかもしれませんが、実際には事前の準備をしていて大暴落を回避できた人たちもいます。

大暴落を避けるために、「大暴落によって大きく損を出した人たちは、どういうトレードをしていたのか?」を理解して、同じことをしなければいいのです。

次回は今回のアップルショックで大きく損失を出した人の共通点を見つつ、どう備えればいいのかを話していきます。

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