移動平均線は、とても強力なテクニカル分析のツールの1つです。
ただ、表示させれば誰でも勝てるようになるものではありません。
移動平均線を知り、どう使っていけばいいのかを学ぶ必要があります。
ここでは、移動平均線を使いこなすための基本を3つのポイントにわけて説明していきます。
まずはここで移動平均線の基本を身につけましょう。
ポイント1:移動平均線は使い方次第
これから移動平均線について話をしていくのですが、最初にとても重要な話をします。
移動平均線は、どのテクニカル分析の本にも載っているし、一度は聞いたことのあるテクニカル分析ツールだと思います。
それゆえになんでも解決してくれると思うかもしれませんが、移動平均線は決して万能なツールではありません。
何かしらのサインが出たとしても、それがダマシであることもあるし、逆にいい場面でもサインが出ていないことがあります。
ようするに、移動平均線は使い方次第ですごく使えるテクニカル分析ツールにもなるし、まったく使えないものにもなるのです。
では、移動平均線は具体的にどんなことを補助してくれるのか。
例えば、移動平均線を1本表示させることで、今の相場がトレンド相場かレンジ相場どちらなのかを教えてくれます。
また、複数の移動平均線を表示させれば、狙う場面を絞り込むことができ、エントリータイミングを取るのにも役立ちます。
他にもトレンドの勢いがどのくらい強いのかを確認したり、どこでレンジからトレンドへ相場が切り変わるのかを見極めるのにも使えます。
このように移動平均線はとてもたくさんの使い方があり、一歩間違えると混乱して、どう使ったらいいのかわからなくなってしまう危険があります。
これに対してオシレーター系のテクニカル分析ツールは、使い方が大体1〜2つくらいで多くても3つです。
なので、どうやって使えばいいかが決まっている分使いやすく、移動平均線は混乱を招きやすいです。
ただ、移動平均線はとてもなので全部じゃなくても、あなたのトレードに使えるものを1つでも取り入れてトレードに生かしてください。
あなたがトレードしていて、困っていることがあれば、移動平均線を使うことでもしかしたら解決してくれるかもしれませんよ。
ポイント2:単純移動平均線と加重移動平均線と指数平滑移動平均線
移動平均線について、もしかしたらこれらの言葉を聞いたことがあるかもしれません。
移動平均線は大きく3つに分けることができます。
名前だけをみると、もしかしたらちょっと難しく感じるかもしれませんが、そんなことはありませんのでご安心ください。
3つの移動平均線とは、
単純移動平均線(Simple Moving Average、SMA)
加重移動平均線(Weighted Moving Average、WMA)
指数平滑移動平均線(Exponentially Smoothed Moving Average、EMA)
です。
単純移動平均から簡単に説明していきます。
単純移動平均線が最も一般的
まず、移動平均線と言われたらそれは単純移動平均線を指します。
移動平均線の中で最も多く使われているのがこの単純移動平均線。
メタトレーダー4で移動平均線の設定をする時は、simpleと書いてあります。
ここからは20日移動平均線を例に話を進めますね。
20日の単純移動平均線とは、直近20日の価格を平均したものです。
1日経つとその日の価格が計算に加味される代わりに、21日前の価格は計算から外れます。
こうして毎日直近の20本の価格のみを平均して出されるのが単純移動平均線です。
移動平均線は、この単純移動平均線だけでも十分相場で機能しました。
しかし、単純移動平均線を使ってトレードをしていたあるトレーダーが2つの疑問を持ちました。
一つ目の疑問は、なぜ20日前の価格も、今日の価格も同程度に重要視されるのか?ということ。
20日前の価格よりも、最近に近い価格の方が重要視されるべきではないか、と。
そして2つ目の疑問は、20日移動平均線の場合、直近20日しか計算に加味されていないけど、それより前の価格は無視していいのか?と。
価格は過去まで遡ると膨大に存在していて、それらは今の価格と何かしらの関係があるはずだから、移動平均線の計算に加味すべきではないか?ということですね。
これら2つの疑問を解決したものがこれから紹介する加重移動平均線と指数平滑移動平均線なのです。
簡単に言うと、これら2つは単純移動平均線の改良バージョンです。
加重移動平均線は現在をより重視している
最初の一つ目の疑問である、すべての期間を均等にするのではなく、直近の数字をより重視して計算したものが加重移動平均線です。
メタトレーダー4の設定ではWeightedと表示されます。
単純移動平均線とどう違うのかというと、20日移動平均線の場合、20日目の価格を20倍、19日目を19倍、というようにしていきます。
こうすることでより直近により近い価格を重視して移動平均線に反映させることができます。
つまり、移動平均線の動きがより現在に近い価格の影響を受けやすくしているのです。
しかし、まだこれでも20日分の価格しか移動平均線に反映させることができていません。
そこで次に登場するのが指数平滑移動平均線です。
指数平滑移動平均線は全期間を取り入れている
この指数平滑移動平均線は直近の価格の比重をより大きくして計算し、さらに過去すべての価格を計算に加味しています。
どのくらい数式が複雑か想像できると思いますのでここでは数式は出しません。
このように、単純移動平均の疑問点を補う形で加重移動平均線、指数平滑移動平均線が登場したのです。
話の流れからいくと、単純移動平均線を最も洗練させたものが指数平滑移動平均線だということになりますよね。
では指数平滑移動平均線がどの移動平均線よりも優れているのかというと、それはまた別の話になります。
実は、ある人が検証したデータを見ると、3つの移動平均線で最もパフォーマンスのいいのは単純移動平均線なんですね。
ただ、このパフォーマンスは使い方や使う場面によって異なるので、常に単純移動平均線がいいわけではありません。
一番ゆっくり動く単純移動平均線は、長期足でトレンドの流れを読むのに適しており、現在の価格に最も敏感に反応する指数平滑移動平均線は短期足で強いトレンドに乗る時に役に立ちます。
このようにどの時間足でどういう使い方をするのかで、機能する移動平均線は変わってきます。
これら全てを1から見つけていくのは大変なことなので、気になる移動平均線の使い方から試してみることをオススメします。
ポイント3:移動平均線の短期と長期の期間の設定と使い分け
移動平均線を使うときに、次に出てくる問題は移動平均線の期間です。
単純移動平均線を使うと決めても、5期間にするのか、20期間にするのか、100期間にするのかによってその移動平均線の意味するものは異なります。
ここでは、具体的な期間を数字を挙げて説明することは避けます。
なぜなら、20期間移動平均線を使う人もいれば、21期間移動平均線を使う人もいるし、また25期間移動平均線を使う人もいるので、一概にどれがいいとは言えないのです。
どの期間の移動平均線を使っていても、トレードで勝てるのです。
ただし、しっかりと検証して、機能することが確認できていることが前提ですが。
以上の理由から、ここでは深く20期間と21期間どっちがいいか、という話は避けます。
ここでは移動平均線の期間による使い分けをざっくり話していきます。
一般的に短期の移動平均線というときは、期間が5,10,20位です。
それに対して長期の移動平均線は100,200といった期間を指します。
まず長期の移動平均線は基本的にトレンドの認識の補助として使います。
移動平均線の上に現在の価格があれば買い目線、移動平均線の下に現在の価格があれば、売り目線といった使い方をします。
100期間と200期間だとよく使われるのは200期間ですね。
それに対して短期の移動平均線は短期足でエントリーするときのタイミング取りを補助します。
この場合、1本の短期の移動平均線で反発を狙ったエントリー方法もあれば、2本使ってそのゴールデンクロスやデットクロスでエントリーする手法もあります。
例えばこのゴールデンクロスやデットクロスで考えても、単純移動平均線を使うのか、指数平滑移動平均線を使うのか、はたまた期間は10期間と20期間なのか?それとも8期間と13期間を使うのか、など多岐に渡ります。
移動平均線は本当に使い方がたくさんあるので、1つ1つ使い方を紹介していきますね。
まとめ
さて、ここまで読んで、なんとなく移動平均線の凄さがわかったのではないでしょうか。
使い方はたくさんあるし、そのどれを使ったらいいのか、混乱しているかもしれません。
まず初めに移動平均線があくまでもトレードを補助するものであることを理解したら、次にどうやって移動平均線をあなたのトレードに生かしていくか、実際の使い方を見ていく必要があります。
移動平均線は長期足から短期足まで本当にたくさんの使い方があるので、焦らず1つ1つものにしていってください。
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