ダウ理論とは、チャールズ・ダウという外国の方が提唱した理論で全てのテクニカル分析の親とも言うべき元祖とも言える理論で、6つの法則から成り立っています。
もし存在しなかったら今世の中にあるチャート分析の理論が半分くらいになっていたかもしれない、それくらいチャート分析の本質にかなり近い、源流的存在をまとめた理論なのです。
ダウ理論というと「高値と安値が切り上がればアップトレンドのあれだよね?」と思うかもしれませんが、実はほんの一部にしか過ぎず、他のサイトではその一部分だけを説明しているものがほとんどです。
本来は、欧米のプロの投資家がトレードの基礎として最初にしっかり学ぶと言われるほど重要なもの。
相場の格言に「Trend is Friends」(※トレンドは友達、トレンドに逆らうな、トレンドに従え、などと訳される)という言葉があるように、トレードの世界において、昔からとても重要視されているのです。
そんな重要な話をわかりやすく正しく伝えるために、3ヶ月以上の時間を使い鬱寸前になりながら作った力作になります。
必ず新しい発見がたくさんあると思うので、何度もじっくり読んで頂きたいと思います。
まず始めに。
なぜ、100年以上も前の理論が今も尚重宝されるのか?
僕はその理由をこう考えています。
ダウ理論とは、チャールズ・ダウさんが当時、相場の世界を生き抜くために、相場の値動きの本質を捉えるために行った分析そのものであり、このダウ理論によって現在に至るまでの100年以上の間で多くのトレーダーが稼げる様になっているからです。
理解のしやすさや、使いやすさが高いのも重宝される理由でしょう。
今回の記事では、そのダウ理論の必要性が分かっていて、ゼロからしっかり理解した上でトレードにしっかり活かしたい人のためのものになります。
- 意外と知られていない本当のダウ理論
- ダウ理論の6つの法則から相場の値動きの本質を掴む
- まとめと今後ダウ理論を学習するための順番
ただダウ理論で述べられている6つの法則を勉強したとしても、おそらく「何を小難しいことを言ってるの?」となって、なかなか自分のトレードに活かすところまで到達しないでしょう。
しかし僕自身、先ほど触れたように、ダウ理論を理解することは、FXで勝つために必要な相場の値動きの本質を掴むことと同じだと思っているので、ダウ理論と相場の値動きの本質も一緒にわかりやすく解説していきます。
この記事の目次
- 意外と知られていない本当のダウ理論
- ダウ理論の6つの法則から相場の値動きの本質を掴む
- 1:価格(平均株価)はすべての事象を織り込む ⇒チャート分析だけで未来を予測できる
- 2:平均は相互に確認されなければならない ⇒関連通貨の同期を確認すればトレンドの信憑性が高まる
- 3:トレンドは出来高でも確認されなければならない ⇒出来高が確認できればトレンドの勢いがわかる
- 4:トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する ⇒トレンドの把握で目線を固定し利益を最大化する
- 5:トレンドには3種類ある ⇒3種類のトレンドを正確に把握できると絶好のエントリーポイントが見える
- 6:主要トレンドは3段階からなる ⇒相場の格言に逆らった「頭から尻尾まで」を取る事が可能になる
- ダウ理論から導き出されるトレード戦略
- ダウ理論のまとめと今後ダウ理論を学習するための順番
意外と知られていない本当のダウ理論
このダウ理論には目的があり、それは市場の値動きを評価する事です。
この「評価する」というのが至極シンプルで重要な意味を持っているのですが、実際のところこの意識でダウ理論を使いこなせている人は本当に少ないです。
その証拠に
「値動きを評価するとはどういう事ですか?」
と、問われて明確に答えられる人は少ないし、絶対的な答えが存在しない難しい事だからです。
そして、ダウ理論のほんの一部【トレンド判断】を知ってるだけで、全部理解したつもりになっているのです。
ここで僕なりの答えを示すなら
「過去の値動きを分析して、未来の相場が今よりも上に行きやすいのか?下に行きやすいのか?判断が難しいのか?といった方向を見定めた上で、チャートがどんな形を作っていくのかを予測することであり、今の相場がどんな状態かを見極める事」
です。
これは、トレードでいうとエントリーのタイミングをどうするか?と考えるよりもずっと手前の「そもそもここでトレードしたほうがいいのか?」に対する答えを提示してくれるのです。
相場が現在どういう状況にあるのか?上に行こうとしてるのか?下に行こうとしているのか?勢いはあるのか?これらの問に答えを出すための分析手段であり、ダウ理論とはチャールズ・ダウさんの相場に対する考え方そのものなのです。
そのため、かなり幅広い概念をカバーしているもので、じっくり勉強して理解するためにはたくさんの知識習得と多くの経験を積む必要があります。
実際、このダウ理論は以下の6つの法則から構成されているもので、もし、学校で取り上げるならば1年くらい細かい科目にわけて勉強と実践をするくらい奥が深い理論で、その一つ一つがトレードの成績に大きく影響してくるくらい重要なものなのです。
- 価格(平均株価)はすべての事象を織り込む
- 平均は相互に確認されなければならない
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
- トレンドには3種類ある
- 主要トレンドは3段階からなる
しかし、ひとたび、「ダウ理論」で検索すると「難しい専門用語の説明されたサイト」か「ダウ理論のほんの一部分の使い方を解説したサイト」の2種類しか出てきません。
元々、株式市場で使われることを前提に開発された理論ですが、しっかり読み解いていくとダウ理論で語られる全ての考え方は、深くFXのトレードに活かす事が出来るものなのです。
それこそ、ダウ理論だけでも十分過ぎる程に勝てるトレーダーに成長出来るものなのです。
次の項以降では、これらの主張を証明するためにダウ理論の6つの法則をなるべくわかりやすく解説した上で、僕の経験を踏まえてどうやって相場の値動きの本質を掴んでいけばいいのか?ここも具体的に解説していきます。
きっとこの記事を読み終える頃には、ダウ理論の理解が深まると共に、勝ちトレーダーになるために今の自分には何が足りないのか?がはっきりするはずです。
相場の世界で100年以上も使われ続けていることからもわかりますが、このダウ理論が、いかに根源的な考え方をしていて、これまで学んできたテクニカル分析やノウハウの多くが関連をしている事を実感するでしょう。
ダウ理論の6つの法則から相場の値動きの本質を掴む
さて、ここからがダウ理論のメインテーマです。
先ほど紹介した以下のダウ理論の6つの法則を順番に解説していきます。
- 価格(平均株価)はすべての事象を織り込む
- 平均は相互に確認されなければならない
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
- トレンドには3種類ある
- 主要トレンドは3段階からなる
そしてこれらの説明が終わった後に、これらダウ理論の考え方をふんだんに盛り込んだ上で、どういうトレード戦略を組むことができるのか?についても話していきます。
先に結論をいうなら、ダウ理論の6つの法則を理解すれば、以下の図の様な勝率も高く、含み損も少なく出来る絶好のエントリーポイントを見つけてトレードすることが可能になります。
そして絶好のポイントでエントリーするだけではなく、そのポジションの利益をどこまで引っ張ることができるのか?利益の最大化についても話していきますので、ぜひ途中で諦めることなく、読み進めていただければと思います。
ダウ理論の6つの法則を、ただ上から順番に解説するだけでは「じゃあそれってどうやって使えばいいの?」という大事な部分まで到達できず、ダウ理論を勉強しただけで、それは使い物にならない知識であり、1日もすれば綺麗サッパリ忘れてしまいます。
そうならないためにも、ダウ理論の考え方を自分のトレードに取り入れるなら、どこに活かせそうか?ここまで突っ込んで話していきますので、今日からどんどん活かしてくださいね。
1:価格(平均株価)はすべての事象を織り込む
⇒チャート分析だけで未来を予測できる
「価格(平均株価)はすべての事象を織り込む」とは、一言でいうならチャート分析だけで未来を予測できる、ということです。
普段の相場の値動きはもちろんの事、近年起きた為替が大変動を起こす様な事件や世界の経済活動そして政治要因や地勢リスク等による大きな値動きも、もちろん全てでは無く限定はされるものの、究極的にはチャート分析で未来の値動きを予測できるということです。
最近のとてもわかり易い例を出すなら、アップルショックがあります。
アップルショックの値動きもチャートで説明できる
例えば、記憶に新しいアップルショック。
この時、インターバンクという為替取引の大元でも価格が表示されない、400~500pips値飛びして大暴落した数年に一度あるかないかの異常事態が起こりました。
この大暴落の原因となったと言われている、アメリカ経済の状況やアップルの売上下方修正発表を察知するのは普通ではほぼ不可能です。
しかし、相場が暴落する兆候はチャートから見て取れるのです。
これがアップルショックが起きた後のドル円のチャートですが、書いてあるとおり、ペナントというチャートパターンを作っているのがわかるでしょう。
このチャートから、大暴落が起こる前に「ペナント」(変動幅が小さくなる時に出来る形)というチャートパターンが去年12月まで作られて、その後ブレイクして下方向の下落圧力がかかっているのがわかるのです。
仮にアップルショックが予測できなかったとしても、下方向に大きく動く兆候はチャートを見ていればわかったのです。
これがチャートの値動きで未来は見える、というとてもわかり易い例です。
またアップルショックとは何か?原因は?についてはこちらの記事にまとめてあります。
未来を予測するための強力なチャートパターン
参考までに、ペナント以外の有名で強力なチャートパターンをいくか図にしておきます。
補足をすると、これらのチャートパターンの形が出来る直前と、出来た後はその方向、それぞれ矢印が示す方向に動く事が多いという考え方が大前提にあります。
「このチャートパターンが出来そうだな」とチャートを見てイメージが出来れば方向性を予測する1つの材料になるのです。
ダウ理論と同じように、こうしたチャートパターンが長年に渡って多くのトレーダーに支持され、効果が実証されているのは、チャートを見ることで未来が予測できることを証明している、とも言えるのです。
また、今回のアップルショックはペナントの形が分かりやすく出ていた例でとりあげただけのですが、こうしたチャート分析の力が高くなってくると、
「この価格帯を抜けたら一気に下までに行くかもしれない」
「この価格帯で反発したらもう上にしかいかない」
といった、目先の動きをチャートで予測できる様になるのです。
チャート分析で未来を予測する力を身に着けられれば、あとは利益が出る時に注文するだけで、勝てる可能性はかなりあがります。
チャート分析から出した予測が全て正しく現実になる事は無いにしても、経験というデータが蓄積されれば「今のレート(価格)がどの方向で勢いが出そうな場所なのか否か」がある程度予測できる様になるのです。
では、価格はすべての事象を織り込むのだから、チャートだけを見ていればいいのか?
テクニカル分析と対比されるのはファンダメンタルズ分析です。
チャートから未来を予測するテクニカル分析、これを重視すべきなのはわかったけど、じゃあファンダメンタルズ分析は無視していいのか?を次に見ていきましょう。
ファンダメンタルズ分析も価格に織り込まれている?
ファンダメンタルズ分析とは、チャートを使ったテクニカル分析とは異なり、簡単に言えば、各国の経済状況や要人発言、外交問題、さらに政策金利や雇用、生産、物価など経済活動の状況を示すものを分析して、相場がこの先どう動くかを予測してトレードすることです。
先程のアップルショックの例からも、チャートパターンを見ることで、未来を予測することが出来る、という話をしました。
じゃあファンダメンタルズ分析は無視していいのか?という話ですが、ウィキペディアにあるダウ理論の「価格はすべての事象を織り込む」の項目に記述があります。
こちらが原文です。
政府が発表する経済統計や企業の業績・更には自然災害の様な予測不可能な事象に至るまで、需給に関するあらゆる事象は全て市場価格に織り込まれる。市場価格はあらゆるファンダメンタル(材料)の反映であるという考えであり、その意味で効率的市場仮説の主張に基づいた考えとも言える。
引用元:Wikipedia ダウ理論
分解してみると、
- 政府が発表する経済統計や企業の業績・更には自然災害の様な予測不可能な事象に至るまで、需給に関するあらゆる事象は全て市場価格に織り込まれる。
- 市場価格はあらゆるファンダメンタル(材料)の反映である
この2つから、
「全ての出来事は為替レートに反映されるのだからチャートだけを分析していればいいのだ」
という主張をしているのがわかるでしょう。
もちろん大震災やスイスショックなどは、突発的に一瞬で起こるため、前兆があるわけではなく、こうした動きも全て価格に織り込まれると考えるのは無理がありますが、定期的に発表される政治経済の指標発表や要人発言などのファンダメンタルズはチャートに織り込まれるのです。
経済ニュースを見ていると「これは既に織り込み済みか?(織り込んでいるから相場が反応しない)」こういう言葉がよく出てくることからもわかりますが、基本的にファンダメンタルズは価格に織り込まれていくものなのです。
ファンダメンタルズ分析は不要?
じゃあファンダメンタルズも価格に織り込まれてチャートに現れるんだから、世界情勢や各国の経済指標、要人発言などのファンダメンタルズは無視していいのか?
答えはノーです。
理由は、ファンダメンタルズがきっかけになって相場が動き出すことがよくあるからです。
わかり易い例はトランプ相場ですね。
トランプ大統領の誕生がきっかけになって、その後ドル円は大きく上昇し始めました。
これがトランプ大統領当選確定になった時のチャートです。

このように相場が動くきっかけを与えるのがファンダメンタルズなのです。
雇用統計や日銀の政策金利決定会合など定期的に起こるイベントがきっかけになって相場が反応して一方方向に動く事があります。
チャートの形を見ると、上に行きそうなんだけど、動き出すきっかけがなかなかなく、雇用統計の発表がきっかけで動き出す、ということがよくあります。
相場がどちらに行くのかはチャート分析で未来を予測し、ファンダメンタルズ分析から相場が動くバックグラウンド(背景)を掴むという使い方がベストですね。
「価格(平均株価)はすべての事象を織り込む」のまとめ
- 価格(チャート上の情報)はすべての事象を織り込んでいる
- チャート分析からの未来予測=認識できるパターンを自分なりに認識すること
- ファンダメンタルズ分析からわかることは、相場が大きく動くバックグラウンド(背景)である
2:平均は相互に確認されなければならない
⇒関連通貨の同期を確認すればトレンドの信憑性が高まる
「平均は相互に確認されなければいけない」というのはFXの世界に当てはめるなら、ある通貨ペアでトレンドが発生したときに、関連性の高い通貨ペアやインデックスでも同じようにトレンドが確認できれば(同期していれば)、より根拠のある確かなトレンドだと判断できる、ということです。
これにより「目の前のトレンドを信用していいのか?」「この動きはダマシじゃないか?」という不安を払拭でき、より正確にトレンド判断ができるようになるので、それだけ利益を伸ばせるという事でもあります。
すなわち、トレードにおいてトータルでプラス収支にしやすくなります。
「関連性の高い通貨ペアってなに?」
「関連性の高い平均指数(インデックス)ってなに?」
という部分も詳しく解説していきます。
原文からわかる関連性の高さと平均の意味
その前に、この「平均は相互に確認されなければいけない」についてウィキペディアに書いてある原文を簡単に確認しておきましょう。
平均は相互に確認されなければならない
複数の平均的指標が存在する場合、その両者に同じシグナルが見られないなら明らかにトレンドとして捉えることは出来ないと考える。もっともシグナルが同時期に出現する必要はないものの、直近においてシグナルが発生していればトレンドとして捉えるべきであり、且つ可能な限り同時期に近ければ確定的としている。
ダウが活躍した時代のアメリカでは、工業生産が盛んになると共に製品を輸送するための鉄道が整備された時期であった。工業生産の好調・不振は即座に鉄道業の経営に影響したことから、ダウが創刊した『ウォールストリート・ジャーナル』ではダウ・ジョーンズ工業平均株価と運輸株平均をチャート形式で掲載している。引用元:Wikipedia ダウ理論
この中で注目してほしいのは、
- 工業生産の好調・不振は即座に鉄道業の経営に影響した
- ダウが創刊した『ウォールストリート・ジャーナル』ではダウ・ジョーンズ工業平均株価と運輸株平均をチャート形式で掲載している。
この2箇所です。
まずダウ・ジョーンズさんは、関連性の高い業種とはなにか?の問に対して、工業生産のものを作る会社の業績と、鉄道業の業績には関連性が高いことを見抜いたのです。
これは単純な話ですが、ものを作っている会社は、ものを作るだけではなく作ったものを販売店に配送する必要があります。
当時のアメリカでは配送の手段として鉄道を使うことが主流だったので、ものを作る工業生産の会社の業績が悪くなると、配送する商品がなくなるので、鉄道業者の売り上げも落ちます。
こう考えると工業生産の会社と鉄道業者の関連性が高いのは納得ですね。
現代でいうとAmazonと宅配業者で考えるとわかりやすいですね。
ものを売るAmazonの業績が上がれば上がるほど、配送する商品が増えるので宅配業者の業績は良くなります。
そしてダウ・ジョーンズさんは、さらにそこから一歩踏み込んで、1社1社の業績の関連性よりも、複数の会社の業績を合算して出した平均同士の方が関連性が高いことを見抜いたのです。
「工業生産の会社と鉄道会社を一社一社見ても、業績の良いところと悪いところで差があるから、それぞれの平均を見たほうがいいのでは?」と思い至ったのです。
そこで、これらの有効性を確認した後、自身が創刊したウォールストリート・ジャーナルでは工業株の平均と運輸株の平均を掲載して、相場分析の際の判断材料にしていたのです。
ではでは原文はこのくらいにして、実際にFXでは「平均は相互に確認されなければいけない」この法則をどう使っていけばいいのかを見ていきましょう。
為替相場においてこの考え方は視点を少しずらす事で十分に使えます。
ポンドドルとユーロドルのブレイクアウトを相互に確認する
先ほども話しましたが、FXにおいては関連性の高い通貨ペアやインデックスを見ることで、「目の前のトレンドを信用していいのか?」「この動きはだましじゃないか?」という不安を払拭でき、より正確にトレンド判断ができるようになります。
実際にどういうものを見ていけばいいのか?をチャートを使って説明していきますね。
為替相場においては、トレードする通貨ペアにUSドルが含まれているなら、他の通貨ペアでUSドルが含まれているものを見比べます。
USドルが含まれる通貨の中でも同じような動きをする通貨はある程度決まっているので、動きの関連性の強い通貨ペアを一緒に見ることで、トレンドが出ているかどうかを確認することができるのです。
ここではまずユーロドルとポンドドルのチャートで説明していきます。
ユーロドルとポンドドルの通貨ペアはどちらもUSドルが含まれており、とても相関が高い通貨として有名です。
相関が高いということは、似たような動きをしやすいということです。
実際のチャートで説明しましょう。

ユーロドルとポンドドルが同じように下がって行く形になっているのが見てわかります。
このように似たような動きをする通貨ペアのことを相関が高い、といいます。
そして、注目してほしいのはチャートの中でも拡大させている、ラインブレイクをして下に落ち始めた部分。
よく見ると時間差で起こっているのがわかるでしょう。
上記の図で言えば、20時の時点でのユーロドルのブレイクのダマシの可能性は低く下に行く可能性が高いと分析が出来るのです。
なぜなら先にポンドドルが同じ日の13時にラインをブレイクしているからです。
この様に、相関の強い複数のチャートを見て目先の方向性の動きに確信を高めて行く事が、ダウ理論でいう「平均は相互に確認されなければならない」の意味になるのです。
相関性が高い通貨ペアの組み合わせは他にもあるし、それこそ2つではなく3つ4つと複数チェックするのもよいでしょう。
ただ、これはあくまでの目安であって今回のようにポンドドルがブレイクしたからユーロドルもブレイクするはずだ、と決めつけてエントリーするのはやめたほうがいいです。
絶対的なものではなく、他の要素と合わせて参考にする事で活かせるものです。
では次に、もう一つ関連するチャートを紹介しましょう。
ドルインデックスとユーロドルのブレイクアウトを相互に確認する
それは・・・
ドル関連の通貨ペアと関連性の高いドル指数(ドルインデックス)
円関連の通貨ペアと関連性の高い円指数(円インデックス)です。
この○○指数とは複数の主要通貨に対する、為替レート(相場)を指数化したものをいい、先ほど紹介した組み合わせの通貨ペア以上に似たような値動きをします。
ここではドルインデックスとユーロドルで比較して見てきます。

今回の例は、5分差で連動してブレイクしているので、スキャルピングやデイトレードのスタイルならかなり参考になる場面ですね。
具体的には上の図に書き込んでいますが、先にドルインデックスが18:05にブレイクして、その後を追いかけるように、5分後にユーロドルもブレイクしています。
これらの指数チャートを確認できるMT4(証券会社による)は限られてるものの、表示する価値は高いものです。
「ドルインデックス」と検索すればブラウザ上でチャートが無料で回覧できますので確認してみてください。
このように、似たような動きをするチャートを合わせて確認する事で、トレンドが出たか否かはもちろん評価そのものをより正確に判断する事ができるものです。
「平均は相互に確認されなければならない」のまとめ
- 平均は相互に確認されなければいけない=通貨同期を意識する分析は有効である
- 同期を確認する例として「欧州通貨の相関」「ドルインデックスとドルストレート」など
3:トレンドは出来高でも確認されなければならない
⇒出来高が確認できればトレンドの勢いがわかる
この出来高とは取引されている総量の事で、これが多ければ多いほど値動きにも大きく影響するという考え方が元となっています。
出来高を考える上で大事なことは、上昇している局面でしっかり出来高を伴っているかどうか?を確認することです。
相場が上昇してるのに出来高が大してない場合は、買いたい人が多いというよりも、売りたい人は少なく、相対的に買いたい人が多いだけだということがあります。
だからこそ出来高がしっかり確認できる上昇は勢いがあり、信頼できるトレンドだと言えるのです。
しかし、これはダウ理論の中で唯一FXで応用を利かせるのは本当に難しくあまり効果が少ない話と言えます。
では具体的に出来高について見ていきましょう。
「トレンドは出来高でも確認されなければならない」を原文で確認する
ではFXで応用を利かせるのが難しい理由をウィキペディアの原文から見てみましょう。
トレンドは出来高でも確認されなければならない
市場の終値の変動をダウは重視するが、同様にトレンド発生の確認手段として出来高の推移も重視する。
例えば上昇局面においては値上がり時に出来高が増加し値下がり時には出来高が減少、下降局面においては逆になる。主要トレンドに従って取引する投資家が多数派であり、二次トレンドや小トレンドで利益を得ようとする投資家は少数派であると考え、それが出来高の多少に反映するとする。引用元:Wikipedia ダウ理論
例えば上昇局面においては値上がり時に出来高が増加し値下がり時には出来高が減少、下降局面においては逆になる。
まずここで言っているのは、上昇している場面でただ上昇しているのではなく、出来高が一緒に増えていることでトレンドの信憑性が高まるということです。
また、この部分で言っていることは、二次トレンド(主要トレンドの調整局面)が終了して、値動きが主要トレンドの方向に揃うポイントも、ただチャートパターンで転換が確認できるだけではなく、出来高の増加が確認できればその転換の信憑性が高い、ということです。(この辺りの主要トレンド・二次トレンドについては後で図を使って詳しく説明します)
さて、このように単にチャートの形で上昇や転換を確認するのはもちろん大事なのですが、ここに更に出来高が伴っていれば、その上昇、転換の信憑性が高い、ということなのです。
FXで出来高を確認する方法は?
ただ、残念ながらFXの世界では、世界中のすべての取り引きの出来高をリアルタイムで把握することはできません。
ダウ理論で前提となっている株式の世界では、売買される場所が全て一つの取引所(日本だと東京証券取引所)を介して行われるため、全ての注文は日本であれば東京証券取引所を介さなければ注文売買することができません。
全ての取り引きが一つの取引所に集まるから「どれだけ取引されたのか?(出来高)」がリアルタイムで把握できます。
しかしFXの取り引きは、世界にたった一つの取引所があって、全ての取り引きがそこを介して行われているわけではありません。
FXは世界中の銀行や証券会社が直接ドルや円の売買を、お互いが納得する金額で決めて取引を行っている(相対取引)ので、全てのデータをリアルタイムで集計するのが難しく出来高を正確に把握できないのです。
では、この出来高分析によるトレンド判断は諦めなければならないのか?と言われればそうではありません。
世界中の取り引きの出来高は把握できませんが、各証券会社が自社の顧客が保有しているポジション量を計算して出しているところがあります。
日本で有名なのはOANDAです。
OANDAで提供されているデータはOANDAグループ全体のものなので、日本はもちろん海外の顧客のデータも反映されています。
こちらのページからでドル円のポジション保有状況を把握することができます。

https://www.oanda.jp/lab-education/oanda_lab/oanda_rab/open_position/
このサイトの解説にも書いてありますが、基本的な見方としては、
ポジションを保有してる人(オープンポジション)の比率(%)をみて、現在の値段とショートの人、ロングの人を見比べることで、含み益、含み損を抱えている人がどのくらいいるのか?を見ることができます。
もしショートで含み損を抱えている人が多ければ、含み損を決済するロングが入り、上昇する可能性が高い、という分析ができます。
他にもこの出来高の考え方を応用できるのが、オシレーターによる買われ過ぎ、売られ過ぎのテクニカル分析を使用する事で反転の目安にする事はできるのですが、かなり経験がものを言うテクニックなので、慣れていないと難しいです。
この出来高、取引量を自分のトレードに活かすのはなかなかレベルの高いことなので、明らかにコストパフォーマンスがいい、他の法則を参考にすることがおすすめです。
そして慣れてきて値動きがつかめるようになってきたら、徐々に出来高、取引量も意識して分析してみてください。
ただし注意点があり、このようなオープンポジションのデータは、提供しているブローカーの統計情報を基にしているので、全世界の取引の実態を示しているものではないという点です。
「トレンドは出来高でも確認されなければならない」のまとめ
- トレンドの信頼性は「出来高」も考慮することが、本来は重要
- 実際問題、株式市場とは異なりFX市場において「出来高」を把握するのは難しい
- 出来高に近いものにオープンポジションなどのデータもあるが、あくまでも提供しているブローカーの情報なので、正確性に欠けることも覚えておこう
さて、ここからがダウ理論のメインとも言える「トレンド」について、トレンドとはどういうものなのか?様々な特徴を徹底的に解説していくパートに入っていきます。
チャートがたくさん出てくることもあり、ボリュームも多くなります。
ただ安心してほしいのですが、模式図や実際のチャートを使ってわかりやすく解説していきますので、自分のトレードに活かすべく、何度もしっかりと読み込んでもらえればと思います。
4:トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
⇒トレンドの把握で目線を固定し利益を最大化する
まず最初に話をしたいのは、そもそものトレンドの考え方です。
今の相場でトレンドの把握が出来ると、「上か?」「下か?」「横か?」の目線を固定が出来、トレンドが継続しているとわかればポジションを長期保有して利益を最大化することが出来ます。
では、実際にトレードで活かすために、トレンドとはどういうことのものを言うのか?具体的に説明していきます。
ここではあまり難しいことは考えずに、以下の図のように高値と安値が切り上がっていればアップトレンド、高値と安値が切り下がっていればダウントレンド、と考えてもらえれば大丈夫です。

そして、このトレンドについてダウ・ジョーンズさんはとても重要な決まりごとを作りました。
それがこの法則のテーマでもある、トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する、です。
どういうことなのか、ウィキぺディアの原文から見て行きましょう。
トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
現在の市場で発現しているトレンドは、明確にトレンドの転換シグナルが現れるまで継続し続けるとする。トレンドに従った売買によって多くの投資家は利益を得るのであり、トレンドに逆らった売買で利益を得るのは難しい。引用元:Wikipedia ダウ理論
ダウ理論が優れている理由の一つとして、トレンドが出ている出ていないの基準がどのテクニカル分析よりもわかりやすくはっきりしていることです。
実際、これから説明するダウ理論の方法で一回下降トレンドと判断されたなら、どんな形で上がろうと、決めたラインまでは下降トレンドとして考えるところです。
極端な例ですが、以下のチャートの様に400pips上昇しているところでも、下降トレンド中と考えるのです。

目先の値動きだけで判断すれば、「上昇トレンドで見るべきでしょ」と声を大にして言いたくなる場面もありますが、頑固おやじの様にシグナルが出るまでは、早々に覆さないのがダウ理論によるトレンド判断なのです。
もちろん、このダウ理論によるトレンド判断が絶対で完璧ではありません。
上記のチャートでも400pipsではなく結果的に1000pips以上上昇トレンドになる事もありえるでしょう。
ダウ理論が重宝されるのは、トレンドが出ている時はその方向に動く事が多いだけではなく、上なのか?下なのか?の目線を固定する事によって無駄な損失トレードを減らしてトータルでプラス収支を出す事に繋がるからなのです。
それが原文にある「トレンドに従った売買は利益を得る」と示している事なのです。
それでは、どの様にトレンドの「転換シグナル」を見極めるのか説明をしていきましょう。

まず、上の図で示している上昇トレンドと下降トレンドは必ず「トレンド崩壊」の状態を経て転換または、再度同じ方向に発生します。
分かりやすく伝えると、以下の法則が大前提にあります。
下降トレンド発生⇔トレンド崩壊(発生していない)⇔上昇トレンド発生
そして、全ての相場はこの3つのどれかに必ず該当をします。
ということは、「ちょっと上昇トレンド」なんてものは絶対に無いし、「上昇トレンド」からいきなり「下降トレンド」に変わることもありません。
必ず、「トレンド崩壊」を経て、「上昇トレンド」や「下降トレンド」に変わって行くものです。
つまり、「転換シグナル」とは、「上昇トレンド」から「トレンド崩壊」の段階と、「トレンド崩壊」から「下降トレンド」の段階の2段階を合わせたものを言うのです。
他の書籍やサイトに書いてある内容によっては、「トレンド崩壊」の段階を使わず、上昇トレンドが終わった瞬間に下降トレンドが発生する見方だったり、トレンド崩壊の範囲を狭めた見方もありますが、このサイトでは安全かつ確実な利益を上げる為に最も確実な考え方で説明をします。
その区分けを模式図で表すとこんな感じです。

この様に、2段階を経てトレンドは転換をしていきます。
そして、トレンド発生後のトレンド継続についてもシグナルがあります。
トレンドの継続は、アップトレンドであれば高値に引けるラインを上に抜けたら、ダウントレンドであれば安値に引けるラインを下に抜けたら、トレンド継続と判断します。
図にすると・・・

で、最初にも話したことですが、これらトレンドの転換やトレンドの継続において重要なことは以下の2つです。
・上か、下か、横か、目線を固定する
・トレンドが継続しているうちは利益を最大化するためにポジションを長く保有する
これらを基本原則として考え、まずはトレンドが出ていることを確認して、その方向に絶好のタイミングでエントリーする。
そしてそのポジションの利益を最大化する。
今話したトレンド方向への絶好のエントリーポイントはどこなのか?そして利益を最大化するために、どこまでポジションを保有すればいいのか?については、次に説明をするダウ理論の原則の考え方から導き出すことができるので、これから順番に話していきます。
5:トレンドには3種類ある
⇒3種類のトレンドを正確に把握できると絶好のエントリーポイントが見える
ここでは「トレンドには3種類ある」ということについて話をしていくのですが、これだけ見ると「一体何のことを言ってるの?」と感じると思います。
ただ、そんな難しく考える必要はなく、この「3種類のトレンド」でこれから解説していくことの目的はたった一つです。
それは、
一回のトレードでなるべく高い勝率で含み損少なく、大きな利益を獲るために大きなトレンド(主要トレンド)の押し目で買い、戻りを売ること。
そして事前にその押し目と戻りを見つけることです。
そもそも、トレードにおいてトレンドが出ていればどこでもエントリーすれば勝てるのか?
そんなことはありませんよね。
長期足でトレンドが出ていたとしても、エントリーするタイミングによっては、含み損が大きくなって塩漬けにしたり、何度も損切りになることがあります。
じゃあトレンドが出ている中で、絶好のエントリーポイントとはどこなのか?と言われれば、それが押し目と戻しなのです。
図で表すなら、ずばりここですね。

こういった、丸で囲んだ押し目や戻しでエントリーが出来れば含み損が少なく高い勝率を出せるからこそ「絶好のエントリーポイント」と言えるのです。
この絶好のポイントでエントリーするために、3種類のトレンドを理解する必要があり、3種類のトレンドを理解できれば、トレンドの押し目になりそうなところで買って、戻りになりそうなところで売る、とっても美味しいトレードができるようになるのです。
ではまず最初に、原文を見てダウ理論において、3種類のトレンドとは何なのか?を理解しましょう。
「3種類のトレンド」を原文で確認する
先ほども同じ図を使いましたが、そもそもトレンドとは?という疑問に対しては、こういうものをイメージしておいてください。

さて、ではこのトレンドについて、3種類ってなにがあるのか?原文を見ていきます。
ダウ理論では、価格変動の分析において市場動向(トレンド)を重視する。そのトレンドを以下の3つに分類している。
1、主要トレンド:1年~数年のサイクル。
2、二次トレンド:3週間~3ヶ月のサイクル。
3、小トレンド :3週間未満のサイクル。これらのトレンドは互いに独立しているのではなく、二次トレンドは主要トレンドの調整局面であり、小トレンドは二次トレンドの調整局面として捉えられる。
引用元:Wikipedia ダウ理論
3種類のトレンドとは、主要トレンド、二次トレンド、小トレンドの3つです。
まずこれらの3つのトレンドがどのくらいの時間足に当てはまるのか、サイズ感を見ていきます。
ちなみに、原文には「サイクル」と書いてありますが、これはトレンドが発生してから終了するまでを1サイクルとする、という意味です。
- 主要トレンド=トレンドの発生から終了が1年から数年間程度、つまり日足以上のチャートが当てはまる
- 二次トレンド=トレンドの発生から終了が3週間~3か月間程度、つまり1時間足~日足までのチャートが当てはまる
- 小トレンド=トレンドの発生から終了が3週間未満、つまり、4時間足以下のチャートが当てはまる
これが各トレンドのサイズ感ですね。
ただ、この説明を聞いて「大、中、小でトレンドを考えればいいんでしょ?」と安易に結論に至ったのであれば、3種類のトレンドの本質を理解できないままで、致命的な勘違いをする事になるので注意してください。
で、とても大事なのは原文の以下の部分です。
これらのトレンドは互いに独立しているのではなく、二次トレンドは主要トレンドの調整局面であり、小トレンドは二次トレンドの調整局面として捉えられる。
この記述。
これはつまり、主要トレンドと二次トレンドと小トレンドがそれぞれどういう関係なのか?ということであり、これら3つの考え方を活用して、どうやって絶好の美味しいエントリーポイントである押し目、戻しを捉えるのか?
ここにつながってきます。
で、原文に戻しますが、この3種類のトレンドの関係を言葉で説明すると、原文に書かれていること、そのままなので、図を使って説明しますね。
ただ、主要トレンドと二次トレンド、小トレンドを全て一緒に理解しようとすると頭が混乱してしまうと思うので、まず主要トレンドと二次トレンドの関係を理解してもらいます。
次に二次トレンドと小トレンドの関係を理解してもらい、最後にこれら3つの種類のトレンドを全て結びつけて理解してもらいます。
まず主要トレンドと二次トレンドの関係は以下のとおりです。

二次トレンドは主要トレンドの中の調整局面、つまり下落しているところです。
二次トレンドは主要トレンドよりも短期の時間足なので、主要トレンドの一波が二次トレンドではしっかりと波形を描いてダウントレンドを形成しているのがわかると思います。
このダウントレンドが二次トレンドに当たります。
次に二次トレンドと小トレンドの関係は以下の通りです。

小トレンドは二次トレンドの中の調整局面、つまり上昇しているところです。
小トレンドは二次トレンドよりも短期の時間足なので、二次トレンドの一波が小トレンドではしっかりと波形を描いてアップトレンドを形成しているのがわかると思います。
構造としては主要トレンドと二次トレンドの関係も、二次トレンドと小トレンドの関係も同じです。
それぞれ下位足のトレンドは上位足の調整局面という意味では同じですが、アップトレンドなのかダウントレンドなのかが異なります。
主要トレンド、二次トレンド、小トレンドを全て図に表すとこのようになります。

主要トレンドの絶好のエントリーポイントである押し目や戻しを捉えるために、これら3種類のトレンドの考え方は必須なので、上記の3つの図を繰り返し見比べ、それぞれがどういう関係になっているのかを理解してから先に進んでくださいね。
こうした複数のトレンドを重ねる分析方法に慣れていないと、今話した3種類のトレンドは少し難しく感じたかもしれませんが、絶好のエントリーポイントを掴むために今話した分析方法はとても重要なので、時間がかかっても何度も繰り返し読んでください。
とても大事なことなので補足しておきたいのですが、この項での目的は、主要トレンドの押し目と戻しを狙う、という話をしました。
となると、トレードにおいて気になるのは主要トレンドってどの時間足なの?ですよね。
ただ残念ながら「どの時間足のチャートが主要トレンドなのか?」この問いに対しては絶対的な答えはありません。
なぜなら見ている通貨ペアの各時間足の相場の状況によって、日足を主要トレンドとして見るのか、週足を主要トレンドとしてみるのか?が変化するからです。
先ほども話したとおり、主要トレンドは日足以上のチャートでその時の相場状況に合わせてどの時間足を主要トレンドにすべきかを決めていく必要があります。
間違っていない範囲で自分で決めて見て行く事がポイントになり、これを決める基準があるかないかでトレーダーとしての成長効率は雲泥の差が出てきます。
ただ、主要トレンドは先ほども話したように、日足以上の時間足が当てはまることがほとんどで、ただ、日足なのか、週足なのか、月足なのか?はその時々で異なります。
この辺りのどの時間足を軸にしてトレードしていけばいいのか?についてはこちらで詳しく話していますので、参考にしてみてください。
自分がどの時間足を主要トレンドとしているのか?はつまりどの時間足の一波を取りに行くのか?と同じことなのです。

では模式図で3種類のトレンドが理解できたら、実際のチャートで見ていきましょう。
3種類のトレンドをチャートで理解する
では次に実際のチャートを使っていま説明した3種類のトレンドの関係を見ていきましょう。
ここでは下方向のチャートで説明するので、さっきとは逆の模式図を用意しました。

では説明するチャートはこちらです。
折角なので、今学んだ3種類のトレンドがどこに該当するのか?2分くらい考えてみてください。

これらの複数時間足のチャートを目の前にしてすべきことは、トレンド判断とそれぞれの時間足の値動きが他の時間足のどこに対応しているのか?を把握することです。
ちょっと難しい表現をしましたが、こういうことです。
二次トレンドは主要トレンドのどこと対応しているのか?
小トレンドは二次トレンドのどこと対応しているのか?
これらを理解することが、それぞれの値動きが他の時間足のどこに対応しているのか?を把握することです。
先ほど模式図で説明した3つのトレンドがそれぞれの時間足のどこに当てはまるのか?対応しているのか?を考えなければならないのです。
そして、対応させた図がこちらになります。

こうした複数の異なる時間足チャートで、同時に複数の分析をすることをマルチタイムフレーム分析といいますが、この3種類のトレンドでは、相場の値動きの本質を掴むためには、マルチタイムフレーム分析がとても重要だよ、という話なのです。
で、マルチタイムフレームの考え方が身につき分析できるようになると、どんないいことがあるか?
絶好のエントリーポイントである、主要トレンドの押し目買い、戻り売りが可能になるのです。
先ほど出したチャートをじっくり見て、どこが絶好のポイントになるのかを少し考えてみてください。
狙いたい絶好のエントリーポイントはどこか?
言葉にするなら、それは主要トレンドの調整局面(二次トレンド)が終了して、再度主要トレンドの方向に動きだすポイントですね。
このチャートで言うと緑の丸で囲んだところですね。

狙いたい場面は、こういう主要トレンドの押し目買い、戻り売りのポイントで、ここを狙って捉えるために、二次トレンド、小トレンドを上手に使う必要があります。
つまり、この3種類のトレンドは、それぞれが独立したものではなく主要トレンドの中に内包されているものであり密接に関連しています。
さて、ここでは主要トレンドをメインに狙う場面を話していきましたが、次に、主要トレンドの狙う場面に二次トレンドと小トレンドをうまく組み合わせて分析する方法を見ていきましょう。
3種類のトレンドを組み合わせた絶好のエントリーポイント
さてここまででも十分に、どういうところを狙っていけばいいのか?を見ていきましたが、主要トレンド・二次トレンド・小トレンドを全て組み合わせてマルチタイムフレームで分析をした結果、どこでエントリーするのが絶好のポイントなのか?をより細かく見ていきましょう。
絶好のエントリーポイントは、
主要トレンド・二次トレンド・小トレンドの方向が全て揃う所
この言葉だけでは難しく感じるかもしれませんが、チャートに当てはめていくと、どこが該当するのか?がわかるので、じっくりと確認してみてください。

では、先ほどの一文、
主要トレンド・二次トレンド・小トレンド、それぞれのトレンドの方向が全て揃う所
がどこなのか?答え合わせをしていきます。
ここです。

これらのポイントは全て連動いていて、同じ場面を示しています。
ここが王道であり、絶好のエントリーポイントである、主要トレンドの押し目、戻りに当たる部分で、下位足を使ってこのポイントを捉えるために必要な分析なのです。
なぜここが王道なのかを簡単に説明しておくと、含み損が少なく、勝てる可能性が高く、1回のトレードで大きく狙えるわかりやすいエントリーポイントだからです。
トレンドが出ていればどこでもエントリーしていいわけではなく、それだと含み損が大きくなったり、ロスカットを連発させてしまいまい、ストレスになるものです。
それを解決してくれるのが、押し目を待って買う、戻りを待って売るスタイルなのです。
マルチタイムフレーム分析で押し目、戻りを捉えるコツ
マルチタイムフレーム分析をするときのコツとして、より短期の時間足からトレンドが順番に発生していく、という原則があります。
ここまでの話は結局の所、主要トレンド(長期足のトレンド)の押し目や戻りをとらえて絶好のポイントでエントリーすることがトレードにおいて重要であり、そのために3種類のトレンド(より下位足のトレンド)も加味しましょう、ということでした。
主要トレンドに乗りたいと強く思っていても、主要トレンドだけを見ているだけでは、その値動きを捉えるのは難しいから、二次トレンド、小トレンドというより下位足を見ていきましょう、ということです。
では、なぜ下位足をみるのがいいのか?というと結論は簡単で、トレンドはより短期の時間足から発生、終了するからです。
つまり、相場の値動きの本質には以下のような法則があります。
主要トレンドや大きな時間足のトレンド発生・終了は、基本的に1分足、5分足、1時間足と、短い時間足のトレンドの発生終了から順番に起こって揃っていくものです。
模式図で見ていきましょう。

まずこの模式図で、それぞれの時間足がどのタイミングでアップトレンドが発生するのかを確認してください。
ここでは、
- 主要トレンド=日足
- 二次トレンド=4時間足
- 小トレンド=1時間足
として図を作っています。
で、先ほどの日足の赤丸のところをより詳細に見ていくとこの様になっています。

この2つの模式図を見比べてもらえれば、1時間足→4時間足→日足の順番で短い時間足から順番にトレンドが発生して揃っているのがわかるでしょう。
もちろん、順番にと言っても常にドミノ倒しの様に、キレイに長い時間足まで変わるわけではありません。
短い時間足の発生・終了頻度はかなり多くなります。(これが経験値の浅いトレーダーが相場の値動きに振り回される理由にもなっています)
それこそ、短い時間足のトレンドが一つ上の長い時間足のトレンドに揃うまでは短い時間足のトレンドは複数回発生・終了・反転を繰り返したりもするでしょう。
その上で1つずつ階段を上がる様にトレンドが揃っていくのです。
このように、相場の値動きの本質として、より短い時間足からトレンドが同じ方向へと揃っていく、こうした法則があります。
長期足である主要トレンドの押し目、戻りを、含み損をほとんど抱えることのない絶好のポイントでエントリーするために、こうしたマルチタイムフレームでの分析ができるようになる必要があるのです。
つまり、ダウ理論の「3種類のトレンド」の項目ではいろいろ話をしてきましたが、結局の所、絶好のエントリーポイントをなるべく早く、正確に見つける為に必要な分析方法を教えてくれたのです。
さて、ここまでは主要トレンドが調整局面からトレンド方向へと切り替わるポイントをより短期の時間足のトレンドを重ねたマルチタイムフレームで分析していく方法でした。
さて、主要トレンドの押し目と戻しを捉えるコツを話してきましたが、実はもう一つコツがあります。
主要トレンドの押し目と戻しの目安は1/3〜2/3程度
ダウ理論の専門書には主要トレンドの押し目、戻しの目安についても言及されています。
二次的トレンドは主要トレンドの調整局面とみなされ、通常三週間から三ヶ月間継続する。調整は通常前段階のトレンドの1/3~2/3くらいの戻しとなり・・・
これはトレンドが出ている時の一旦戻す動きの幅の目安を教えてくれています。
相場は必ず波を打っていて、上昇する時も下降する時も例外なく上下に波を打ちながら推移していくものです。
でも、リアルタイムで見ていると、今の上昇や下降が続く保証はどこにも無く、どこで押し目になるのかを判断するのは非常に難しい問題なのです。
そこでダウ理論ではわかりやすい目安として、どのくらいの幅で戻るのか、押し目や戻りを作るのかを提示しています。
それが先ほどのダウ理論の専門書に書いてある通りで、例えば上昇トレンドの場合、現在の場所から見た直近の安値から高値までが100pips上昇した後は33~66pips(直近の上昇の1/3〜2/3程度)くらいは一旦下降して、安値を作り、そこからまた上昇に転ずるということです。
図で説明をすると、こんな感じです。

もちろん例外はあるものの、トレンドが出ているときの押し目や戻りのどこまで動くのかは割合で見るとあたりがつけやすくなります。
また、最初の原文に出てきたサイクルの期間と、ここまで説明してきた「発生・終了の見極め」と合わせて見るとより目安になるでしょう。
「3種類のトレンド」のまとめ
- ダウ理論(トレンド)で重要なのは「目線の固定」によって、無駄な損失を減らす基準である、ということ
- 「転換シグナル」というのは「トレンドの発生・崩壊」から成り立つ
- 複数の時間足におけるトレンドの相関関係を意識することが「マルチタイムフレーム分析」である
6:主要トレンドは3段階からなる
⇒相場の格言に逆らった「頭から尻尾まで」を取る事が可能になる
先ほどのダウ理論の5つ目の法則では、主要トレンドと二次トレンドと小トレンドと3つのトレンドの話をしましたが、ここで扱うメーンテーマは主要トレンドです。
ここでは、主要トレンドの始まりから終わりまでがどのような変遷をたどって行くのかを見ていきます。
主要トレンドの話なので、実際のチャートで言えば日足以上の週足や月足でみた時に、この考え方は適用される、ということです。
間違えても1時間足や15分足などの短期足で考えないように注意してください。
日足以上の主要トレンドが時間と共に、どのようにチャートを形成していき、現在地がトレンドの中のどこなのかがわかれば、好きなところを自由自在に狙って獲ることができるのです。
ポジションを長く保有して1回で1000pips以上狙うスタイルなら、主要トレンドの初期段階からポジションを仕込んでおくことで頭から狙う超損小利大のトレードができますし、デイトレくらいで考えるなら、主要トレンドの一部分をうまく切り取ることで、主要トレンドに乗った損小利大のトレードが実現可能なのです。
それこそ、投資の格言で「頭と尻尾はくれてやれ、狙うな」というリスクは背負わず確実な利益を狙う事を促すための意味を持つこの言葉に逆らった「頭から尻尾までを狙う」という上級者レベルのトレード領域まで目指す事ができます。
では「主要トレンドは3段階からなる」についてまずはウィキペディアの原文を見ていきましょう。
「主要トレンドは3段階からなる」を原文で確認する
ウィキペディアには以下のような記述があります。
主要トレンドは3段階からなる
また、主要トレンドは買い手の動向によって3つの段階からなるとしている。
先行期:市場価格が下落し全ての悪材料は織り込み済みと判断した少数の投資家が、いわゆる”底値買い”をする時期。価格は、下落しているか底値圏で上下している。
追随期:市場価格の上昇を見て追随者が買いを入れる時期。価格は、上昇局面にある。
利食い期:価格が充分に上昇したところを見て、先行期に買いを入れた投資家が売りに出て利益を確定する時期。価格は既にその前から上昇局面にあるものの、その上昇する値幅は小さくなっている。
引用元:Wikipedia ダウ理論
主要トレンドは3つの段階があり、それぞれを「先行期」「追随期」「利食い期」と名付けています。
この辺りは相場参加者と、参加者の心理を読み解いていくと、とてもよく分かります。
まずは先行期、追随期、利食い期が主要トレンドのどの場面のことを指しているのかを図で確認しましょう。

まず最初にあるのが先行期ですね。
この先行期はまだ相場に方向感のない時期です。
多くのトレーダーはこの先行期のチャートを見ても「もみ合っていて方向感がないあ」程度にしか感じません。
しかし、一部の嗅覚の優れたトレーダーは様々な分析の結果、「売りの判断材料は出尽くしたし、安値の更新もないから、ここが底だ!」と判断し買いを入れます。
このように「今の値段が底値圏だ」と判断するトレーダーが徐々に増えて買いが増すことで、相場は少しずつ上昇し始め、追随期へと突入します。
追随期は高値と安値の更新がはっきり確認できている(トレンドが発生している)ため、先行期では様子を見ていたトレーダーたちが買いを入れてきます。
先行期から買い目線でいる嗅覚の優れているトレーダーたちも、上昇に合わせて買いポジションを増やし、多くのトレーダーが買いを入れるので相場は一気に上昇していきます。
これが追随期です。
そして追随期で上昇してある程度の時間が経った次にやってくるのは、先行期から買っていた嗅覚の優れているトレーダーの利確です。
「そろそろ利益の乗ってるポジションの利確をしていこう」と利益確定の注文を入れていきます。
買い持ちしているポジションの利確の注文は、市場に売り注文として出るので、相場を押し下げる力が働きます。
しかし一方で追随期から入ってきたトレーダーたちは依然として「まだまだ上がるはず!」と買い注文を入れている人がほとんどです。
先行期で早い段階から買っていたトレーダーたちが利益確定をすることで、上昇の圧力が弱まっていき、高値を更新することなく追随期が終了し利食い期に入ります。
利食い期では、大きく新規のポジションが入るよりも、持っている買いポジションを利食いたいと思っているトレーダーが多く、売りのオーダーが出ることから、上昇よりも下落圧力が強くなります。
チャートで見ると、利食い期は横ばいのもみ合いになるか、もしくは下落していきます。
こうして一つの相場(トレンド)が終了して、またどこかのタイミングで嗅覚の優れたトレーダーが「売り材料は出尽くしているから、そろそろ買いを入れておこう」と買いあさりはじめ、先行期が形成されるのです。
また、利食い期と先行期ははっきりと区別できるものではなく、利食い期の途中から先行期に突入して、どこかのタイミングで追随期にはいるケースもあります。
このように利食い期と先行期ははっきり区別できるわけではなくグラデーションになっているのです。
先ほどの図でまとめると以下のようになります。

それでは、ダウ理論の3つ目の法則である主要トレンドができる3段階において実際の以下の白紙チャートを使いながら1つ1つ見て行きましょう。
折角なので続きを読む前に3つの期がどこに該当するのか?2,3分考えてみてください。

まず全体像を掴むために、どこが先行期で、どこが追随期で、どこが利食い期なのかを載せておきます。

これらの考え方を実際のトレードで活かすためには、それぞれの期間でどういう値動きの特徴があるのか?を見ていくことですね。
なので、このチャートを使って、それぞれの期間の値動きの特徴を見ていきましょう。
先行期
この段階で注文する人というのは、目先の流れと逆行をした注文を入れる場所になり、一回のトレードでの利益を最大できる場所とも言えるし、負けやすい時期とも言えます。
普通に考えれば
「下がっているのにこれから上がると思って買うなんて頭おかしんじゃないの?ギャンブルでしょ?」
と思ってしまうものですが、為替相場の場合は、冷静に考えて見ると以下の思考を持った人達が多く集まる場所なのです。
- 売り注文を利益確定するために買い戻す
- 想定外のことがなければここが底で、これ以上下がることはないから新規に買い注文を入れる
- これ以上下がったら困る事情がある個人ではない大きい組織による買い支え
などです。
こういうストーリーは言われればなんとなく納得できると思うのですが、チャート上でどうやって確認すればいいのか?
「こういう値動きが確認できれば先行期の可能性が高い」と見極めるヒントは2つあります。
- 反転のチャートパターンが出来上がる
- 反発しそうなラインが近くにある
こうした、ここから相場が反転して上昇しそうな(下落の場合は逆)シグナルを複数見つけることが先行期を見極める方法です。
具体的に2つの方法を見ていきましょう。
反転のチャートパターンを見つける
1つ目の方法は、ダブルトップ(ボトム)やヘッド&ショルダー、N字やペナントやボックス圏形成、ロウソク足のコマ足包み線などの反転のチャートパターンを見つけることです。
先ほども図で表しましたが、このようなチャートパターンです。

こういったサインは他にもありますが、これらを複数の時間足で分析をするマルチタイムフレーム分析をする事で、より正確に先行期の判断が出来、慎重にエントリーを考える事に繋がります。
ではこれらのチャートパターンを先ほどのチャートに当てはめてみましょう。
先ほどのチャートのこの部分を拡大して見ていきます。

拡大したチャートがこちら。

このチャートから、反転のチャートパターンを探してみてください。
僕はこのように分析しました。

この様に、複数のサインを見つけることで、このチャートの場合は下に動く可能性は低いと判断出来、消去法の考え方ですが、もみ合うかアップトレンドが発生するかもしれないと見ていく事が出来るのです。
では次に2つ目のラインについて見ていきましょう。
反発しそうなラインが近くにある
これは簡単に言うと、日足以上の時間足で引けるラインが先行期付近にないか?を見ることです。
ラインの詳しい説明はここではしませんが、例えば週足の安値が先行期の値動きをいているちょうど下にある場合、そこで反発して上昇する可能性がある、と判断できます。
例えば先ほどチャートで言うと、ここです。

こうした反発するかもしれない、抜けたら大きく伸びるところに引くのがラインなのですから。
こうしたラインをどういうところに引けばいいのか?はこちらの記事で詳しく解説しています。

こういったラインを引いた分析から他の高度な分析を合わせて行い、底だと判断したトレーダーや投資家が、反転する動きの理由となる注文をし始め(下降時は買い注文)、もうこれ以上はなかなか伸びないと判断した売り注文を買い戻すトレーダーが徐々に増えて、値動きが下げ止まり上下に動く「揉み合い」の相場を作るのです。
そして、時間が経過すると上記の人間の割合が増え始め上昇し始める段階(トレンドが発生する)までがこの先行期なのです。
では次に追随期を見ていきましょう。
追随期
先行期が終わる最後の段階では、値が一方向に動き出します。
その動きを見て、先行期ではポジションを持たなかったトレーダーたちも便乗して、買いの注文が増える段階が追随期です。
この時の注文の増えるスピードはチャートが示す通りかなり速くなり、かなり早く値が伸びるといっても言い過ぎではなく、一回のトレードで十分な差益、利益を狙う事ができる段階です。
また、この追随期にトレードする事が一番確実と言われ、相場の格言で出てくる「頭と尻尾はくれてやれ」の結果、残る胴体の部分がこの追随期でもあります。
そして、初心者や経験の浅いトレーダーが狙うべき場所でもあり、勝てる可能性が高いと言われる場所でもあるのです。
ぶっちゃけ、この場所を見つけられるだけでも勝ち組に仲間入りする事が出来るくらい優位性が高い場所です。
是非まずは1つのトレンドの中の、追随期を見つけてうまく利益を上げていきましょう。
では、実際にチャート上でどうやって見つけるのか?
見つけ方はとても簡単です、ダウ理論が定義するトレンドが出ているところが追随期に当たります。
追随期をチャートで見てみましょう。

ここで注意が必要なのですが、単純に高値と安値が切り上がっていればアップトレンドで、切り下がっていればダウントレンド、と判断すると混乱が生じます。
上のチャートの追随期の中にも、一部高値と安値が切り下がる場面が出てきますが、どこかわかりますか?

印をつけたところですね。
一つの考え方として、アップトレンド中にこのように高値と安値の切り下がりが起こった場合、追随期から利食い期へと移行した、と判断するのも一つの方法です。
ただ、ここで大事なのは自分の中でトレンドが終了する場面の定義をしっかり持っていることです。
そしてこの場面では、僕が普段行っているダウ理論の分析方法では、この場面のように高値と安値が切り下がっても、アップトレンドは終了しておらずまだ継続中なのです。
トレンド終了の軸がぶれていて、高値と安値の切り下がりで安易に「トレンドが終わった」と判断してしまうと、相場の思うツボです。
単純な高値安値の切り下がりだけで判断すると、まだトレンドが終わっていないのにポジションを閉じることになります。
そもそも、相場は本質的に上がったら下がるものであり、急に伸びたりする分だけ深く戻る性質もあるもので、自分の分析の軸をしっかり持って、慎重にトレンドを見極める必要があるのです。
利食い期
主要トレンドの最終段階で、先ほど出てきた先行期や追随期で注文した人達が利益確定、利食いをする事が多いので、言葉が示す通りの「利食い期」になります。
正直言って、買い注文をするのには一番危険な場所です。
確かに上昇はしているものの、その勢いは鈍い事が多いので大きく差益は狙えず、勝てても小さな利益である上に逆に大きく値が動く事もあるのでその分大負けしてしまうリスクがあるのです。
利食い期になったかどうかの見極め方は、最もシンプルな方法は主要トレンドのトレンド終了です。
ただ、これだけだとどうしても判断が遅れてしまうので、それまでの高値安値の切り上げ(下げ)と視覚的に比較して鈍くなったとか、揉み合いを作ってるなどの要素から総合判断するなど、感覚的な要素が多く難しいのも事実です。
判断が難しい理由は、利食い期と先行期は重なる事もある上に、再度追随期になる事もあるからです。
そのため、明確に利食い期と判断しようとすると混乱をしてしまいます。
ただ、ここでポイントになるのは、先行期と追随期がある程度わかれば消去法的に利食い期も分かってくることです。
なにか一つの分析ツールに当てはめて追随期から利食い期に入ったことを判断するのは難しく、なるべく早く利食い期に入ったと判断できれば、無駄にエントリーしたりポジションを長期で保有する意味もなくなるので、複数の要素で総合的に判断していく必要があります。
「主要トレンドは3段階からなる」まとめ
- 主要トレンドの内訳「先行期」「追随期」「利食い期」の3段階のそれぞれの期間の流れをイメージしよう
- 主要トレンドの3段階に明確な切り替わりで考えられる部分と、グラデーションで考えるべき部分がある
- チャートパターンを認識することで「期の切り替わり」を見つけやすくなる
ダウ理論から導き出されるトレード戦略
ここまででダウ理論の6つの法則を話してきたのですが、主に法則の4〜6を総合的に見ると、どういうところでエントリーするのがいいのか?そしてどういうところで利益確定を行えばいいのか?というトレード戦略が見えてきます。
わかりやすく言えば、
勝率高く、損小利大のトレードを実現できる様になります。
トレンドには3種類あり、主要トレンド、2次トレンド、小トレンドがあるという話でした。
また、この3種類のトレンドは前段階のトレンドに内包されている関連性があるという話でした。
そして、主要トレンド・二次トレンド・小トレンド、それぞれのトレンドの方向が全て揃う所が理論上、含み損が少ない場所でトレードが出来るというものでした。
上昇の主要トレンド発生中に、含み損が少ない絶好の押し目買いを狙う場合見極めなければいけないものは、二次トレンド終了のポイントです。
そして二次トレンドが終了し、主要トレンドと同じ方向へとトレンドを形成しだしたタイミングが絶好のポイントなのです。
図にすると以下の★マークのところです。

そして、次に話をしたトレンドの3段階を組み合わせます。
ここでは、先行期⇒追随期⇒利食い期の順番で主要トレンドが創られるという話でした。
この3つの段階をリアルタイムで正確に判断が出来れば「頭から尻尾」までを獲るエントリーにより近づく事ができます。
この判断も、ここでとりあげたトレンド判断の話が理解出来れば実践できる様になります。
簡単にアップトレンド発生の例でまとめると
- 先行期=ダウントレンド崩壊時
- 追随期=アップトレンドシグナル発生⇒継続シグナル発生
- 利食い期=上昇の継続シグナルが発生しない(高値安値を更新しない)
という事になるのです。
では、より頭から尻尾までを獲るトレードに近づくためにはどういうポイントでエントリーしていけばいいのか?
実はこれまで伝えて来た内容を総合的に判断すると、この大きく利益が獲れる場所が見えてきます。
図にまとめるとこうなります。

まずはエントリーする場所として画像の★マークの様な場所です。
先行期と追随期でそれぞれエントリーポイントがあるので、順番に説明していきます。
先行期から見ていきます。

この場面は、主要トレンドで直近の下落が一段落し、先行期に入ったところです。
エントリーのタイミングとしては、二次トレンドの下落が終了したところ、もしくは上昇へと転換してくところですね。
また、この図でも書き込んでありますが、チャートパターンが出たり(左がヘッドアッドショルダーで右がダブルボトム)、ちょうど安値付近に長期足のラインがあったると尚良いですよね。
そして、次に注目すべきポイントとしては■マークの場所です。
ここは主要トレンドがアップトレンドになるところであり、追随期が始まる場所です。
この時、他の時間足でも同様にアップトレンドが発生したり、トレンドが継続するポイントであれば尚良いです。
また同期のところでも話しましたが、相関性のある通貨ペアでブレイクを確認できれば、ダマシに合わず正確にブレイクを捉える事もできるでしょう。
では次に追随期を見ていきましょう。
こちらが追随期で注目してほしいエントリーポイントです。

基本的なエントリーのタイミングは先ほどの先行期と同様で、二次トレンドが終了したタイミング、または二次トレンドがトレンド転換して主要トレンドの方向へとトレンドを発生させるポイントです。
次に注目してほしいのは、追随期の後半の決済をするタイミングです。
決済のタイミングを計るための利食い期の判別ですが、前提としては、エントリーする場所を探すよりも、より多くの不確定要素が絡むことから、難易度が上がるものだと覚えておいてください。
どこでエントリーすべきか、どこで損切りをすべきか、はある程度の答えを提示することができますが、どこで利益を確定させるか?は判断材料が人それぞれ多岐にわたるので、利食い期がどこになるのか、判別が難しくなるのです。
その上で利食いのポイントとして一つの答えを提示するなら、それは二次トレンド発生です。

この図は追随期の終盤で利食い期に入る直前の動きを拡大したものです。
利食いに適した場所を2つ紹介します。
まず1つ目は○の場所です。
ここは追随期でエントリーしたポジションを利確する一つの目安になる場所であり、主要トレンドよりも短い時間足でトレンドが終了したポイントです。
これは二次トレンドを応用した利確の方法ですね。
そして、2つ目の利確の目安になるポイントが▲の場所ですが、ここはちょうど利食い期に入るところで、主要トレンドが終了するポイントでもあります。
ここが2つ目の利食いのポイントです。
トレンドが崩壊した以上は、その後再度トレンド方向に伸びる事はあっても時間がかかったり、ここが天井になり反転する可能性もあります。
せっかく得た含み益が減ってしまい、場合によっては反対方向流れに巻き込まれ、含み損を抱えてしまう可能性もある局面なので、ここが上目線の最終ラインとなります。
いかがでしょうか?
ここまでの説明がダウ理論の6つの法則をふんだんに駆使して実践できる分析、大きく利益を狙う手法の基本的な考え方になります。
ダウ理論って本当にすごいと実感してもらえたと思います(笑)。
また、それとなく、テクニカル分析を勉強してきた人は冒頭にあった「ダウ理論が根源的な存在だ」と話した意味を実感してもらえたと思います。
相場の本質、値動きの本質に関連するところが山ほどありましたらかね。
ダウ理論のまとめと今後ダウ理論を学習するための順番
ここまで長々と伝えてきましたがいかがだったでしょうか?
一番伝えたかった事は、ダウ理論は、本当に奥が深く実践的な理論にもかかわらず、残念な事にほんの一部しか重要視されていない上に、間違った理解をしている事が多いものだという事です。
しっかり一つ一つ読み解いて繋げていくと、とてつもないパフォーマンスを発揮できる力になるのです。
それ故にしっかり手を動かして実践しないと理解出来ないものでもあるのです。
ここまで読んでくれたほとんどの人は少なからずダウ理論の重要性を理解してくれたと思いますが、いざ自分の目で、手でチャートを見ても99%上手く出来ません。
なぜなら、ダウ理論を理解していくために正しい順序で手を動かす必要があるのです。
そして、そのステップどおりにダウ理論に基づくトレンド判断ができるようになれば、ダウ理論だけでもトレードして勝てるようになるのです。
ダウ理論を使ったトレード手法に関しては、こちらにまとめてありますので、ぜひダウ理論による分析をマスターして、相場のトレンドを掴んだトレードができるようになりましょう。

僕が日々チャートを見てどんな分析をしているのか、リアルタイムの相場分析のメールで無料配信しています。
トレードで高い勝率を実現するためには、正しい分析が必要です。
では、その正しい分析とは何なのか?
既にサイトで公開をしているシンプルで超強力なトレードルールを基に、チャートを前にどう分析すればいいのか。
正しい相場分析とは一体どういうものなのかをお見せします。
僕の分析を元にトレードして勝ってもらうのはもちろん、最終的にはあなた一人でも僕と同じチャート分析ができるように、そのために必要な知識、考え方をレポートやメールマガジンで詳しくお伝えしていきます。
『毎日がんばってチャートを見ている・・・』
『思うようにトレードで勝てない・・・』
『自分のチャートの見方が正しいのかわからない・・・』
『トレードは真面目にやらないと勝てないよね・・・』
『ダウ理論がイマイチ腑に落ちなくていつまでたっても上達を実感できない・・・』
こんなふうに思っている人には、目からウロコな話ばかりなのでオススメです。
具体的に得られるものの一部を紹介します。
▼登録すると得られるもの▼
・F-pedia管理人の高勝率リアルタイム相場分析配信
・99%の人が見落としているトレード手法の難易度について【レポート】
・僕が必勝法をみつけるまでに【レポート】
・勝トレーダーが絶対身に着けている2つのスキル【レポート】
・秘密のメールマガジン
メールに登録してくれた人限定で、これらをテーマにしたレポートを作り出来上がり次第プレゼントしようと思っています。
あ、一つ補足ですが、もちろん登録したら何かをしつこく販売したりはしませんし、いつでも解除できますのでご安心ください。
メールではなかなかサイトには書けない僕のプライベートな話もしていますので、そちらもお楽しみに。